ワイン文化研究会のご案内

■研究会の始まりについて

 ワイン文化研究会は、平成21年12月、財団法人総合研究所の自主研究活動から誕生しました。日本一のワイン・フルーツ産地である山梨のワイン(製造業)やフルーツ(農業)、温泉(観光業)など地域の魅力を活かしながら、映画祭とコラボした新しい観光文化の創造を目指すプロジェクトです。

  ゆうばり映画祭ほか、国内外の数々の映画祭を立ち上げて地域活性化に成果をあげてきた、映画プロデューサー小松沢陽一先生(東北芸術工科大学院客員教授)と持続可能な都市空間の実現を研究テーマとする東京大学都市工学大学院准教授の間鍋陸太郎先生を顧問に迎え、山梨果実郷である甲州市、山梨市、笛吹市、そして甲府市の4氏の市民たちが、行政や民間の業種の枠を超えた研究会活動を続けております。

  平成22年秋には、研究会の活動成果の発表の場として、ワインと映画を同時に楽しむ映画祭開催の機運が高まるなか、(社)笛吹青年会議所より、市民主体の実行委員会組織を立ち上げ(現WAMO-PROJECT実行委員会)、プレイベント開催の提言があり、その思いに研究会メンバーが賛同。「ワイン文化研究会」を母体とするWAMO-PROJECT実行委員会と(社)笛吹青年会議所の共催により『WAMO-PROJECT ふえふき映画祭ワークショップ2010』が笛吹市で開催されました。
実行委員会は、研究会のメンバーを中心に、甲州、山梨、笛吹、甲府、4市のワイナリー業者、映画館主、サラリーマン、農業者、観光業者、飲食業者、映像制作者、報道関係者、行政関係者などが集いました。さらに東京からも大学、映画、イベント関係者がボランティアで参加し、これまでのまちづくりでは例のない産学官民協働の場となりました。

  ちなみに、『WAMO』というネーミングの由来ですが、『WAMOとは・・・ Wine And MOvieの略。そしてワインをモット飲もうのかけ言葉です』。実行委員会開催中に、何か統一したイベント名が必要という意見が多数出され、ブレインストーミングをして決まったのがこの「WAMO」(ワモ)です。地域の枠を超えた映画イベントの愛称として根付かせていきたいと、関係者は意気込んでおります。

 

■研究活動の状況

ワイン文化研究会第1回研究集会

実施日時:平成21年12月 15日午後3時~8時
実施場所:山梨総合研究所会議室

【概要】

  • 山梨県の地域振興の課題として、「滞在型」「癒し型」ツーリズムへの発展的な転換による交流人口の増大を模索するなかで、映画祭というワイン産業に親和性の高い文化イベントを地域に導入することにより、今後の滞在型観光まちづくりのテーマを発展させることが可能か、市民が主体となった具体的な施策展開の方法と事業実現可能性を検討する研究会を立上げる。
  • アドバイザーとして映画祭プロデューサーの小松沢陽一氏を招聘し、地域のワイン産業、観光産等まちづくり関係者に呼びかけ、オープンな参加体制により研究会を設立する。対象地域は甲州、山梨、笛吹等とする。
  • 調査研究活動を通じて、峡東ワイナリーの関係者及び広域圏の映画ファン、まちづくりボランティアなどの市民参加者が中心となり、実行委員会など推進組織を立ち上げ、関係行政にも支援を得ながら、具体的な行動計画を起こす。
  • 山梨総合研究所は事務局として会の活動を支援する。

 

ワイン文化研究会第2回研究集会

実施日時:平成22年1月 20日午後7時~10時
実施場所:甲州市勝沼防災センター1階会議室

【概要】
○甲州ワインのEU輸出プロジェクトの成果について
丸藤葡萄酒 大村社長報告

  • 130年の歴史を持つ甲州ワイン15社の製品を世界に売り込む仕事で1月11日から17日までロンドンに行ってきた。
  • ロンドンは世界最大のワイン情報発信地。プロジェクトは国庫補助の3カ年計画でまずロンドンから売り込みを始めた。現地でマスターオブワインに依頼してプロモーションを行った。

○塩山シネマ・テアトル石和~世界一小さな映画祭について
映画プロデューサー 小松沢陽一氏講演

  • 峡東では、2つの映画館が昭和レトロの映画文化を守っているのをみて、感動した。
  • 峡東のキーワードは「外で見るより、中に入った方が面白い」。石和のホテルは中に入ると、テーマパークのようでびっくりする。地域のあちこちに面白いお宝の小道具がいっぱいあり、まちの奥が深い。
  • 北海道のゆうばり映画祭の事例では、市が炭鉱閉鎖のあと、人口減少のなかで地域活性化の国際映画祭をやった。最初の年から海外のメディアに世界的なニュースとして取り上げられ、情報発信を行った。
  • ゆうばり映画祭では、地元の人がスターとふれあう場作りに成功し、映画関係者の共感を呼んだ。物語の主役は、市民、住民。皆さんが、横のおもてなし連携で、アーチストを受け入れることができれば、勝沼でも石和でも映画祭が可能になる。
  • 夕張市の例では、アーチストが地元の飲食店で朝まで飲み明かした。4日間ぶっ通しで、外からのお客さんが落としたお金が4億円もの経済効果になった。
  • 石和のまちも見て回ったが、ホテルのキャパはいっぱいあるし、容量が大きい。東京から近い。おいしい食べ物とワインがあり、おもてなし文化の大きい可能性がある。
  • 研究テーマ「世界一小さな映画祭」のコンセプト:塩山温泉郷+塩山シネマ、石和温泉郷+テアトル石和が持っている昭和ロマンの雰囲気を活かし、今も映画文化を守るためにがんばっている映画館をシンボルとした映画祭

 

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ワイン文化研究会第3回研究集会

実施日時:平成22年2月19日午後7時~11時
実施場所:笛吹市・富士野屋夕亭

【概要】
○基調講演
「持続するまちづくりの条件」
東京大学大学院工学系研究科 真鍋陸太郎氏

  • どうすれば「まちづくり」がはじまるのか?続いていくのか?
  • キーワードは「自分が楽しんで熱中できること」「まちの人が元気であること」
  • まちの価値(≒楽しさ・誇り)に「能動的に」きづく。
  • まちの宝を再発見して、磨き、みんなに伝える。
  • ここならではの宝: ワイナリーの蔵、ぶどう園、桃ハウス、昭和レトロの映画館や旅館、夜景スポットetc、そして人。
  • 人を呼ぼうと言う前にまちの人が元気で楽しんでいないと、外の人がきても楽しめない
  • まちづくりの条件:「楽しみながら参加できる 空間のデザイン」「楽しみながら活動できる組織の作り方、プロセス(段取り)の設計など」「楽しみながら貢献できる 各種ツール(お道具)の提供など」

○講演「富士河口湖映画祭の運営について」
映画祭プロデューサー 秋山紀勝氏

  • 富士河口湖映画祭は、冬のまちおこしイベントとして企画した。映画館のない町の映画祭。シナリオを公募して、町内でロケして映画を制作、町民がエキストラで参加している。

○講演「やまなし映画祭の運営について」
映画祭事務局 小沢智之氏

  • やまなし映画祭は山梨県内関連作品の上映と山梨ゆかりの映画関係者と県民とのふれあいがメインのイベント。入場料無料で実施。
  • 甲府商工会議所とやまなし映画祭実行委員会が主催してきたが、2010年度から商工会議所が主催からはずれ、実行委員会が市民主体で開催することになった。
  • ※テレビ山梨がテレビ特番のため、集会の模様を取材した。

 

ワイン文化研究会第4回研究集会

実施日時:平成22年3月 26日午後7時~10時
実施場所:山梨市駅前 街の駅やまなし

【概要】
○報告 「ドービル国際映画祭、沖縄国際映画祭について」
映画祭プロデューサー 小松沢氏

  • 3月14日のフランス・ドービル国際映画祭に参加してきた。ドービルは古いリゾートであるが、戦後さびれていたのを、国際映画祭で地域の繁栄を取り戻した。 世界的な不景気の時代に地域を活性化した事例として注目されている。
  • 沖縄国際映画祭が3月28日まで開催、今年で2回目になる。
  • 映画祭の企画は私(小松沢)が前の知事から依頼を受けて立案した。国際映画祭を開催する趣旨は、沖縄観光で外国人観光客が6%と低く、海外からのお客様を誘致するために映画祭を発想した。集客が数十万人の規模になり、面白そうだとアーチストが集まってきている。
  • このワイン文化研究会での発想は、国際映画祭を他の県のように行政に依存するのではなく、民間のちからでできる「絵柄」をみてきた。山梨県の強みは、首都圏から近く、東京の映画人からは「きっかけがあれば行ってみたい」と言われている。

○テレビ特番視聴「ウッティ発! 山梨を映画の都に!」

  • 〔放送日時〕UTYテレビ山梨にて2010年3月3日(水)19時50分~20時54分

○研究発表 「フィールドフェスタ三国志プロジェクトについて」
小松沢氏

  • 峡東地区には、映画・テレビで活躍する出身者が多い。山梨市出身の角川映画・キネマ旬報社長の黒井氏、笛吹市出身のテレビ朝日の早河社長など。山梨市の関係では「千と千尋の神隠し」の覚和歌子さんがいる。
  • 山梨ではアワード映画祭の可能性がある。アワードにこだわる理由は、映画祭で大切なのものは人であり、人が人を感動させることである。
  • 峡東に本物の映画スターを迎えて、スター同士が泊まり込みで、地元の人も巻き込んでわくわく交流する絵柄が山梨で実現する。
  • 山梨市街の駅のとなりの居酒屋で、映画スターと住民が朝まで飲み明かすことができたら、すごい「絵柄」ができる。
  • 東京から1時間の時間距離にある場所のなかで、西側の山梨だけはトンネルを抜けて甲府盆地に出てくる。ここで時空が変わり、気分の転換ができるマジック効果がある。ぶどうの丘やフルーツパークから見ると、スタジオ・劇場型の景観である。夜景もすばらしい。それをイベントで最大限に活かせる。
  • 勝沼、塩山、山梨、石和、甲府の会場想定エリアを甲州街道とJR中央線が貫いており、各会場エリアが東京と鉄道で直結している。東京からの交通アクセスは良い。中央高速道路からのアクセスも確保されている。

 

ワイン文化研究会第5回研究集会

実施日時:平成22年4月 21日午後7時半~10時
実施場所:甲州市役所本庁3階会議室

【概要】
○ボーヌ映画祭報告
小松沢氏

  • 甲州市友好都市のボーヌ映画祭(4月8日~11日)に参加してきた。映画祭をプロデュースするシュシャン氏を通じて、この研究会の映画祭の構想をボーヌ市長に伝えてきた。ボーヌ市長から、山梨の映画祭ができたらいと交流したいと言われている。映画祭では日本の山田あかね監督の「All to the sea」が受賞した。

○ワイン映画祭のアクションプラン作成について
研究会メンバーの研究提案

  • 大きなテーマは「映画とワイン」。「映画人の体験・参加を通じての地域の誇りの醸成」がグランドデザインとする。
  • ワイン、自然、富士山、グルメ、農家などの地域資源と映画コンテンツ、映画人ゲストが化学反応を起こす。ゲストの映画人もここで参加・体験する。
  • 映画祭の派生イベント、関連イベントが重要。ワインツーリズムとの関係。懐かしの映画ポスターのまちなか展示。まちの協賛店舗による割引サービスや市民参加の縁側カフェなど。
  • 将来的な発展企画として点在的多数小劇場映画祭の可能性がある。古民家、桃のビニールハウスなど。
  • 会場の可能性の調査結果では、勝沼ワインカーブは厳しいが可能だ。釈迦堂遺跡は大きな駐車場あり、上映が可能。笛吹川フルーツパークは何度も開催しているので、全く問題ない。ワイナリーの蔵はどこも柱があり、厳しいが可能だ。石和スコレーセンターも可能。
  • 仮装映画祭は3日間、観光客には映画の主人公になりきって仮装して参加してもらうことで、世界的な映画祭に。
  • 公募シナリオ、市民エキストラで制作したご当地映画祭プラン。山梨ならではのワインやブドウを題材にした映画シナリオを公募し、入選作を市内でロケを行い、市民はエキストラで参加してもらい、映画を制作する。(富士河口湖映画祭を参考)
  • 映画祭イベントとアプリオ笛吹の連携開催。イベント開催を通じて地域の人の主体的なネットワークを作っていく。

○今後の研究会の進め方 (山梨総研事務局)
(1)自立した研究会の設立
山梨総研の勉強会を、自立したワイン文化研究会へ移行する。役員体制、事務局の場所、運営費用の会費負担等。
(2)山梨総研の協力
山梨総研は地域貢献として、引き続き研究会運営に協力する。
(3)公開フォーラムの開催とアクションプランの提言
ワイン&フルーツ文化公開フォーラムを開催し、これまでの成果を発表する。

 

ワイン文化研究会第6回研究集会

実施日時:平成22年5月 27日午後7時~10時(懇談会:午後10時~)
実施場所:笛吹市石和町市部、笛吹青年会議所事務局

【概要】
○ワイン文化研究会の正式立ち上げについて
規約、役員案、設立日程など

○アクションプラン作成について

  • 笛吹青年会議所の種まき企画「峡東3地区映画祭(仮称)」について

1.ワイン文化研の正式立ち上げについて
事務局井尻が、研究会の規約原案について提出資料を説明。
規約案の要点は

  • 研究会の対象はワイン産業、映画祭事業に限定しない。研究会の今後の目的は、「ワイン(製造業)やフルーツ(農業)、温泉(観光業)など地域の魅力を活かした、新たな産業文化を創造」とする。
  • 研究会と映画祭実行委員会は分ける
    ワイン研究会と映画祭実行委員会の関係は、分離するが、表裏一体となる。映画祭は研究会が主催団体になるのでなく、関係の観光協会、行政などとの連携を円滑にするために実行委員会形式とする。研究会が実行委員会の中核として活動していく。

WAMOプロジェクト ふえふき映画祭ワークショップ2010

公式ホームページ
http://www.wamo-project.org/

日時:平成22年11月5日(金)6日(土)
会場:笛吹市石和町・テアトル石和、シネマの殿堂、夕亭

日本一のワインやブドウで、全国の人に山梨を楽しませようという、市民の夢や情熱が実現し、平成22年11月5日(金)6日(土)の2日間、山梨県笛吹市石和町八田、テアトル石和・シネマの殿堂、隣接する富士野屋夕亭で、「WAMOプロジェクト ふえふき映画祭ワークショップ2010」が開催されました。
この映画祭は、山梨総合研究所のワイン文化研究会の活動から誕生しました。
山梨県民の情熱に打たれて、この映画祭をプロデュースするのは、ゆうばりファンタスティック国際映画祭や、韓国富川(プチョン)国際映画祭の総合プロデューサーとして有名な小松沢陽一氏。
甲州ワインシネマ功労賞には、村野武範さん、筒井真理子さんら豪華映画スター、海外からのサプライズ・ゲストはハリウッド映画女優のジュリー・ドレフュスさんです。甲州ヌーボワインで映画人を祝福しました。

 

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山梨総合研究所地域活性化フォーラム~ワイン&映画祭を通してまちづくりを学ぶ~

日時:平成22年11月6日(土)午前10時~12時半
会場:笛吹市石和町・テアトル石和

WAMOプロジェクト ふえふき映画祭ワークショップ2010の関連行事として、地域活性化フォーラムを下記の内容で開催しました。

1.開会(山梨総合研究所)
2.山梨総研とふえふき映画祭ワークショップについて(経過報告)
3.地域活性化セミナー
モデレーター:前澤哲爾(山梨県立大学地域交流センター所長)
①「まちの情報交流の場をつくる」
講師:真鍋陸太郎(東京大学大学院都市工学専攻)
②「夕張市民からのメッセージ」
講師:三島京子(ゆうばり映画祭応援団元事務局長、夕張再生市民会議リーダー)
③「街をデザインする」
講師:原田豊(乃村工藝社デザイナー)
4.パネル討論&質疑応答

 

■研究会の開催と参加の問合せについて

お問い合わせ先
財団法人山梨総合研究所
〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1-8-11 竹原ビル
TEL 055-221-1020(代) FAX 055-221-1050