ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary99人が責任を持って行動を起すときに、制約や束縛を受けず自分の意志や感情に従って行動することを「自由」といいます。また、社会生活においては、個人の行動が他の勢力によって妨げられないことを「社会的自由」といいます。人は「自由」な行動を取りたいと思いながら、日常の社会生活の中では、完全には「自由」な行動を取ることはできません。それは現実に様々な制約や束縛があり、また、社会には「自由」な行動を妨げる多くの勢力が存在しているからです。さらに、私たち自身の心のありようが、制約や束縛を生み出す場合があります。他人の感情を思い図り、行動に自ら制約をかけてしまうためです。外部要因だけでなく、自らの感情で行動に制約をかけてしまうことで、本来その個人が発揮できる能力をスポイルさせ、パフォーマンスの低下を招きます。外部要因を変えることは難しくとも、自らの心のありようだけは「自由」な状態を保ち、能力やパフォーマンスが低下しないように努めたいものです。また、今までにない新しいものを生み出すことは「創造」といいます。「創造」という言葉の対義語は「模倣」です。「創造」は自分で新たなものを作り出すことですが、「模倣」は既にあるものを真まね似倣ならうことです。新しいものを生み出すには、知識と能力が必要です。真まね似倣ならうよりも多くの時間も要します。しかし、山梨総研に求められているものは、まさにこの「創造」であり、新しいものを生み出す力であると考えます。山梨総研の理念は「自由闊達な職場と知的空間の創造」です。この理念を常に心に留め置き、制約や束縛から解き放たれた「自由」な行動で、「創造」的な活動を目指していきたいと思います。「自由」と「創造」山梨総合研究所 主任研究員 小池 映之1877 年(明治10 年)、甲州ワイン醸造の技術・知識の習得のための地域の支援の下で村の高野正誠(25歳)、土屋助二郎(19 歳)の青年2名が期間を1年間としてフランスに派遣された。横浜港から45 日もの日数をかけフランスに到着し、その後1ヶ月間、語学を習得し、ワイン醸造に必要なあらゆる技術・知識について和訳の辞典と照らし合わせての実技と理論の厳しい日課を積み重ねた。まさにむだなく時をすごしたようである。しかし、両国の往復だけで100 日近くかかり、ブドウの収穫からワインの貯蔵法、新酒の蔵出しまで研修の過程を終えて帰国したときは1年7ヵ月が経過していた。約束が1年間であったため違約金をとられ、歓迎会どころか謹慎を命ぜられたようである。二人が旅立った日が、今からちょうど140 年前である。現在のように、気軽に海外に行ける時代でもなく、情報もない。語学も良くわからない中で、勝沼の若者の目に見えた光景や二人の期待、不安、覚悟がどのようなものであったのかに想いを寄せる。必死に異国で学び、必死に故郷に戻り、必死に地域のために生きた若者の想いと地域住民の大きなロマンや覚悟の上に発展してきた甲州ワインは、壮大な物語と歴史を積み重ねている。地域活性化の取り組みに特効薬や答えなどないかもしれない。しかし、本県の将来を考えたときには、甲州ワイン発展のために壮大な覚悟を持って普及に力を注いだ先人達をはじめとして、本県の発展に尽力した諸先輩方のように、10年先ではなく、次世代に向けた本県の将来のために、どのような覚悟をもてるのか、どのような誇りをもてるのか、を考えながら進んでみたいものである。山梨の将来はどうあるべきか山梨総合研究所 上席研究員 古屋 亮