ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary11「県人口100 万人構想」を掲げて2年半前に知事に当選した後藤斎氏が、間もなくこの公約を取り下げたのには、違和感がありました。この人口減少時代、確かにハードルは高く、簡単に実現できることでないのは分かりますが、あえて高い目標を掲げてそれに向けて努力する意義は決して小さくないと思うからです。そういえば、1998 年の山梨総合研究所発足以来、理事長を務めてきた渡辺利夫氏の退任を承認した今年6月の理事会で、理事の一人が語った印象的な言葉を後から聞きました。「この20 年間で、1人当たりのGDP世界2位から20 位以下に、高齢化率が14%から20%以上になった。1人当たりの債務も大きく増えた」といった内容でした。少子高齢化が進む人口や、右肩下がりが続く経済の動向など、この20 年間の変化は予想を上回るものがありました。この縮小社会に、ただでさえ小規模県である山梨がどう対応していくか、また山梨をどう元気にし、発展させていくか―。これは、県など自治体や山梨総研のみならず、県民にとって大きな課題となっています。県と市町村、民間の共同出資で山梨総研が創立されたのは、1998 年4月のことです。以来、地域や社会、産業に関わる調査研究や政策提言、人材育成、いわば「地域のシンクタンク」として活動してきました。創立された年の開所記念フォーラム(テーマは「山梨学の構築をめざして」)や、10 周年フォーラム(分権時代、地域の決断)を振り返ると、「山梨から未来が見える」といった勢いや、成長から成熟へ向かおうとする意気込みが感じられます。だが冒頭の理事の言葉のように、山梨や日本を取り巻く環境はこの20 年間で大きく変化してしまいました。東京に隣接し、首都圏の一角を構成していながら、人口減少が進み、少子高齢化や過疎化、中心市街地の衰退が止まらない山梨。自然が豊かで、富士山などの観光資源もあり、移住・定住の人気も高い山梨の売り物をどこまで生かしているのか。そう考えると、「山梨創生」の方向や将来のみならず、山梨総研の在り方も見えてくる気がします。その点、総研の最近の調査内容をみると、健康寿命と農作業の関連、クラウドファンディングによる地域振興など、山梨の特性を生かしてどう地域の活性化を図っていくかという思いが感じ取れます。菊花賞馬など引退したサラブレッドが清里の牧場で余生を送ることに着目し、人と動物の共生や地域活性化への活用策といったユニークな研究も目を引きます。山梨総研には今後、一層こうした「山梨銘柄」の調査研究に力を入れるとともに、政策提言など地域への還元を行うよう改めて望みたいと思います。県や市町村、民間のパイプ役や牽引役を十分に果たしてこそ、地域のシンクタンクと言えるでしょう。県人口100 万人構想にしても、関係機関が連携して取り組めば夢物語ではなくなるかもしれません。私たちメディアも、「郷土山梨の発展に寄与する」との山梨日日新聞社の編集活動方針などを踏まえて、山梨が元気になるよう積極的に提言・提案を行う考えです。最後に一つ、気になることがあります。年に一度の研究成果の発表の場である、山梨総研の研究発表会への県民の関心が低く、出席者が少ないことです。せっかく山梨に特化したり山梨の将来に関わったりする研究をしているのに、これではもったいない。発信力の強化にも意を用いてほしいと思います。もちろん私たちメディアも協力致します。縮む時代、「山梨創生」へ調査と研究を山日YBSグループ 代表 野口 英一