ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary27公益財団法人山梨総合研究所創立20 周年、誠におめでとうございます。さて、貴研究所が迎えたこの大きな節目は、奇しくも、近代日本の第一の創生、地方創生の象徴である明治維新から150 年の歴史的な節目と重なります。「此社、全て全国中の人知を開き、工作を興隆し、物産を繁殖して、往々富国の大基礎を確立するを以って著眼とすべし。…」。これは、明治初頭に設立された、弊社の母体であります山梨中央銀行の源流、金融類似会社「興益社」の「申合定款」に記された一項目です。当時、「人知開発世に後れる」と評された本県において、行政、金融機関は、文明開化の世に伍していくため、産業の創出・育成を第一の目的とし、起業の方法を指導し、企業の成長を支援するとともに、水陸の交通手段の整備をはじめとする社会資本の充実を図りました。封建の眠りから目覚めたばかりで、まだ新たな国の形さえ不透明な時代に、本県の先人は、その先読みの力と進取の精神によって、地域発展のシナリオを明確に描き、今日の発展へと導きました。翻って、足元の状況は、平和と繁栄の時代の終焉を懸念させるような世界的な政治・経済の構造変化、環境問題の深刻化、ICT、IoT、AI 等をキーワードとする第四次産業革命の進展などマクロ環境の大きな変化のなかで、国内、地方においては、少子高齢化の進行、付随して発生する様々な問題に直面し、当時のような、先を見通すことの困難な時代への対応を迫られています。まさに、第二の日本創生、第二の地方創生が必然の時代といえましょう。このような、従来の判断基準が通用しない、海図なき新たな航海の道標、水先案内人の役目を担っていく存在こそが、地域のブレーン、オピニオンリーダーとして20 年の歴史を積み重ねてきた山梨総合研究所であると考えます。地域の課題解決のためには、世界、日本の大きな潮流を捉えつつ、地域固有の要因を的確に把握し、明快な提言ができる地域に根づいたシンクタンクが何よりも必要です。先人が、地理的悪条件を克服するために発揮した先見性、進取の精神、実行力は、山梨県人のDNAとして、現代まで連綿と引き継がれています。こうした山梨県人の力を結集し、導く存在として、 山梨総合研究所の貢献に大いに期待いたします。私見ですが、一つ、人口減少、労働力確保が最大、喫緊の課題である本県活性化の処方箋を提言したく考えます。「テレワーク王国山梨」の実現です。昭和57 年の中央自動車道全線開通と前後してハイテク分野の集積が進み、ものづくり県としての立場を確立した本県も、世界的な生産体制の潮流変化を受けたハイテク産業の撤退に伴う雇用機会の減少に加え、構造的な職種の制約、雇用のミスマッチなどから、人口流出に歯止めが掛からない状況が続いています。しかし、首都圏にありながら、恵まれた自然環境、生活・子育て環境、地価・物価など移住に対する高いポテンシャルと優位性を持つ本県が、ICT環境の充実、テレワークセンターなどのインフラ整備等を図り、テレワーク、サテライトオフィスの受け皿地域としての基盤を確立することで、「東京の仕事を山梨で」といった、仕事、人材の移転が可能になると思います。東京への流出が大きい若年女性や、潜在的な労働力である子育て世代の女性などに活躍の場を提供することで、地域に活力がもたらされ、人口減少地域から増加地域への転換も可能となるのではと考えます。また、中部横断自動車道、リニア中央新幹線の開通などが予定される本県は、ICT環境の充実によってもたらされる効果と相俟って、大都市圏との時間、距離の制約が取り払われ、更なる優位性を持った地域となります。既にある豊かな地域資源に、こうした新たな可能性を加えることで、第二の山梨創生が現実のものとなるのではないかと想像しています。地域のブレーン、オピニオンリーダーとして、今後の山梨総合研究所のご活躍をお祈りいたします。         第二の山梨創生に向けて山梨中銀経営コンサルティング株式会社 代表取締役社長 井上 久仁