ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

28数年前、アメリカのサンディエゴで開催された「サステナブル ブランド」という会議に出席した。この会議では、これからの社会において、持続可能なブランドとはどのようなものかが議論された。貧困、格差、環境問題等の社会的な課題に取り組んでいくことが、企業の持続可能性に繋がっていくことが論点の一つであった。現在、企業は様々な形で社会問題に取り組むようになってきている。当初は法令順守などを意味していたCSR(企業の社会的責任)は、最近では広義において社会貢献活動も意味するようになってきた。さらには、CSV(共有価値の創造)活動も活発に行われるようになってきている。CSVとは経営学者のマイケル・ポーターが提唱した概念で、経済的価値を創造しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値を創造していくことである。要するに、企業活動自体を社会問題の解決に繋げていく取り組みである。このような活動を企業の利益に繋げていく手法の一つが、コーズマーケティングであり、特定の商品を購入することが社会貢献に結びつくと訴える販促キャンペーンである。ボルヴィックの「1? for 10?」プログラムは、コーズマーケティングとして世界的に有名な取り組みである。ボルヴィック出荷量1?につき10?の清潔で安全な水が支援対象国であるマリ共和国の人々に供給される仕組みとなっている。とは言っても、買うのはあくまで消費者であり、無理やり購入してもらうわけにはいかない。そんな中、これらの商品により敏感に反応する消費者が増えてきている。エシカル(Ethical:倫理的)消費者を呼ばれる人々である。エシカル消費とは、「人と社会、地球環境のことを考慮して作られたモノを購入あるいは消費する」という意味である。エシカル消費にはいくつかの種類があるが、「環境に配慮した消費」や「地域に配慮した消費」は特徴的なものである。環境に配慮したエシカル消費とは、自然環境に頼って生きているという意識を日々持ち、環境を思いやって消費することである。グリーン購入(環境に配慮した製品の購入)などがそれにあたる。山梨は自然環境の豊かな県である。この豊かな自然環境を守っていくためにも、環境に配慮したエシカル消費は重要である。一方、地域へ配慮したエシカル消費としては地産地消や応援消費などがある。地域の経済を考えると、この地域へ配慮したエシカル消費がより重要になってくる。農作物を買うなら、ワインを買うなら、工芸品を買うなら、意識的に県産のモノを買うようにすることは地域経済にとってプラスである。甲府市には「路地横丁楽会」という団体がある。私もメンバーの一人であるが、甲府市の中心商店街にある路地や横丁を、また、そこに広がる飲食店街を地域の資源として発信していく取り組みを行っている。お店を紹介する冊子を作ったり、イベントを開催したりしているが、主な活動と言えば、日々の生活の中で、これらのお店をできるだけ利用することである。まさに、地域へ配慮したエシカル消費と言えるのではないだろうか。経済的にはまだまだインパクトの小さい活動ではあるが、こうした活動が広がっていくことにより、地域経済はより活性化してくると思う。エシカル消費が地方創成の鍵といっても過言ではない。エシカルな消費行動と地方創成山梨学院大学 現代ビジネス学部教授・学部長 今井 久