ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

34もう4~5 年前になるが、友人から紹介された『給食で死ぬ』という本を読んで衝撃を受けた。以前から米や野菜を買うときに無農薬・有機野菜を買うようにしていたが、この本を読んで、無農薬・有機農法による農作物が人にとって大切なことを学んだ。共働きで、子どもたちに十分な食事を与えられない親たちは、コンビニ弁当やファーストフードを買い与えてしまう。食品添加物漬けになっている食べ物しか食べられない子ども達に、せめて給食だけでも安心安全な食材を使った料理を食べさせたいと、中学校の校長先生が立ち上がり様々な努力を重ねて夢を実現したのである。その結果、荒れていた中学校に「いじめ」や「不登校」が無くなり、生徒は花壇の花を手入れしたりして見違えるような学校になったという。豊かな食事が人そのものを変えてしまうというわけである。校長は、地域の農家と提携して無農薬米の栽培をお願いした。きゅうりやトマトなども安全なもののみを使うことにしたのである。最近は、有機村や有機専門店が町中に見られるようになってきた。アレルギー症状がみられる子どもを持つ親達は、安全な食材を求めてこれらの専門店にやってくる。統計の詳しいデータは、知る由もないが50 年前には考えられなかったほど、多くのアレルギー症状があるように思う。蕎麦、小麦、卵、乳製品等々数えきれない。したがって、有機卵や有機牛乳、さらに有機古代麦などが、売られるようになった。これらの有機食品は、アレルギーを持った人が食べても症状が現れないという。裏を返せば、市販の卵、牛乳、小麦粉には有害な物質が多く含まれていることがわかる。詳しいことはわからないが、ヨーロッパの国々では、食品の安全性について厳しい基準を設けているし、食品の出自(どこの誰が作ったのか、無農薬か減農薬かなど)についても表示義務を求めているものがある。ワインもイタリアでは、DOC やDOCG、フランスではAOC などの原産地表示が義務付けられているだけでなく、有機栽培の葡萄を使ったワインの表示も見られる。原産地表示は、ワインだけでなくチーズや生ハムにも義務付けられている。生ハムはイタリア・パルマ産が有名だが、高級な生ハムには、どこで育った豚で餌は何を食べたのかまで表示されているものがある。日本と比べれば、雲泥の差があるように思う。2020 年に東京オリンピックが開催される。多くのアスリート達をおもてなししなければならないが、安心安全な食事を提供することが求められている。参加国の選手・役員を満足させられる食事を提供できるか、大きな課題である。食材の安全が問われてしまうから、日本人が普段から意識を高く持って取り組まなければならないと思う。山梨県において、オリンピックの事前合宿が予定されているから、山梨総研の研究会でもこの問題を取り上げて、議論したいと思っている。食の安全について考える山梨学院大学 法学部教授・総合図書館長 上條 醇