ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary地域シンクタンクとして創立された山梨総研が創立20 周年を迎えるにあたり、これまでご支援ご協力を賜りました関係各位に深甚なる謝意を表する次第です。山梨総研の創立は、バブル経済の崩壊を契機とする日本版金融ビッグバンの開始期の1998 年に遡ります。冷戦の終結を象徴する1989 年のベルリンの壁の崩壊と、それにつづく1991 年のソヴィエト連邦の崩壊により、東西冷戦の緊張から解放された国際社会は、民族主義の台頭などから、新たな国際秩序を模索していた時期でもありました。国内においても、中央集権から地方分権が叫ばれ、それを担うための地域シンクタンクの必要性の高まりにより創立に至ったものです。こうして創立された山梨総研は、その後、2011年に公益財団法人に移行し、中長期的な展望に立って、幅広い視点から地域における政策課題等を調査研究し、県、市町村、企業、各種団体等に提言するとともに、21 世紀の本県を担う人材の育成に努めてまいりました。さて、山梨県は現在、急激な人口減少に直面しています。1995 年に881、996 人であった人口は、2015 年には834、930 人に減少し、2040 年の推計では666、155 人となっています。15歳未満の年少人口の比率は、16.5%、12.2%、9.7% と順次減少するのに対し、65 歳以上の老年人口は、17.1%、28.0%、38.8% と増加するとされており、まさに少子高齢化が進行中です。これは、戦後右肩上がりで成長を遂げてきた日本社会が成熟期を迎えていることの証であり、さらなる成長を求めることには限界があることを認めざるを得ません。つまり、成熟社会にあって、われわれはいかなる価値観を確立し共有していけるかが問われているのです。それに答えるためには、中央集権から地方分権への流れの意味するところを理解する必要があります。すなわち、この流れは、中央(全体)からそれを構成している地方(要素)への流れであり、詰まるところその地方(要素)を構成している一人ひとりの住民に行き着きます。したがって、地方分権の推進には、冷戦後に見られた民族主義の台頭と同様に、住民一人ひとりの自立と自律が求められることはいうまでもありません。政府が推進している「働き方改革」にしても、他律的でなく自律的な働き方改革でなければならないでしょう。近年、山梨は移住希望先として1位にランクされるようになりました。これは、移住対策が功を奏しているからですが、この事実は、われわれに重要な課題を提起していると考えています。つまり、県外から山梨を見ると地元の人には見えていないか、あるいは当たり前として見過ごしている“こと”や“もの”がたくさんあることを示しているのではないかということです。甲州財閥など、県外に出て活躍した人材が豊富なためか、山梨県人は県内より県外に目を向ける傾向が強いように思われます。そのあまり、地元のことを正しく理解しておらず、正当に評価していない嫌いがあるようです。地方創生を達成するには、自ら住まう地域を理解し誇りをもち、それを次世代に引き継いでいくことが大切です。山梨は、リニア中央新幹線の建設や甲府開府500年に加えて、東京オリンピック・パラリンピックなども控えており、時代の大きな節目を迎えています。こうしたビッグイベントを活かしつつ、山梨総研はこれからの20 年を見据えて、地域の皆様とともに活動を展開してまいります。ひきつづき、ご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。巻頭言山梨総研創立20周年にあたって山梨総合研究所 理事長 新藤 久和