ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary37山梨に対する群馬県人の感覚は微妙である。両県ともに首都圏整備法の対象地域で国交省・経産省・農水省などの各地方局を共有するが、NHKのニュースや気象情報ではわずかに区域を異にしていて、実際の時間距離以上に山梨を遠いと感じている。実際の時間距離は、前橋・甲府間が車で2時間半(関越道・圏央道・中央道ルート) 1。前橋・横浜間、甲府・横浜間と同一である(自動車・鉄路とも)。前橋を起点とした場合、甲府は、北関東隣県の宇都宮・水戸よりは遠いが、横浜並の距離にある。また、スポーツや文化のブロック大会、様々な分野の研究・研修大会は関東甲信越の括りで行われる場合が多く、「関東甲信越」という言葉に山梨とつながる地域が見える。だが、群馬も山梨も「東京の田舎」と自嘲気味に語りがちである。自立の意志が弱い。他の地方ブロックに対しては東京との一体感を強調し、ブロック内にあっては東京との距離感で優劣を論じ合う傾向にある。この感覚から離脱、自立していく方向性を求めたい。まずは人口から地域の実力を見よう。新潟を含まない北海道・東北が1,500 万人強、甲信越を含まない中部が1,800 万人強、関西が2,100 万人弱、中・四国が1,200 万人弱、九州・沖縄が1,400 万人強で、関東甲信越は4,700 万人となる。東京大都市圏とわが北関東甲信越との分離が必要だ。東京都と隣接し政令指定都市を含む神奈川・埼玉・千葉を東京大都市圏とすれば3,450 万人となる。したがって北関東甲信越は1,250 万人となる。それだけでも一つのブロックを形成するが、自立を考えるには埼玉との関係が重要となる。埼玉は群馬・山梨同様の内陸県で、新潟を除く北関東甲信5県と接している。加えて埼玉には北関東甲信越に関わる国交省・経産省・農水省などの地方局が集中立地している。国依存との批判もあろうが、埼玉なしでは北関東甲信越は成り立ちにくいのは事実だ。埼玉を加えると北関東甲信越1,950 万人、東京大都市圏2,750 万人となり、バランスもよい。人口の全国比は東京大都市圏が21.7%を占めるのに対し15.4% に及ぶ。農業産出額19.6%(東京大都市圏6.2%)・生産農業所得19.7%(同6.3%)、工業出荷額16.2%( 同10.9%)・付加価値額18.1%( 同11.3%)、卸商業販売額7.3%( 同44.6%)・小売商業販売額14.4%(同19.6%)で2 、農業・工業では全国の2割近く、小売商業でも15% 近い数値を出している。東京大都市圏隣接もあって国土幹線整備も進んでおり、世界文化遺産3件(全国17件)、ユネスコエコパーク3件(同9件)、日本ジオパーク10 件(同43 件)と、多様な世界的資産が集中する。産業構造の調和の取れた多様な資産に富んだ地域である。だが、自立的な地域形成のためには、北関東甲信越では単純で、夢も方向性も感じられない。東京大都市圏を環状に包む、良好な環境・文化資産に富んだ地域として「環東」などはどうだろうか。「関東」とも響き合う。そんな議論からの再出発を夢みたい。1 .鉄路は新幹線駅が高崎なのと中央線沿いに新幹 線がないため3時間半から4時間かかるが、高崎から測定しリニアを前提とすれば2時間以内となる。2 .農業統計は2015年版、工業統計は2014年版、商業統計は2009年版。山梨と群馬を結ぶ「環東」の夢特定非営利活動法人NPOぐんま 理事 熊倉 浩靖