ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

38地域に根ざしたシンクタンクを目指して特定非営利活動法人日本上流文化圏研究所 事務局長 鞍打 大輔山梨総研の創立から遡ること2年、平成8年4月に日本上流文化圏研究所は産声をあげました。早川町を起点に、全国の上流域の未来を考える研究所として、様々な活動を展開してきました。平成12年度には、総合研究開発機構の研究助成を受けて、タイトルにもある「地域に根ざすシンクタンクの存立条件 上流文化圏研究所を起点に」という研究を実施していただき、私も研究メンバーとして参画させていただきました。山梨総研と上流研は、地域の活性化に向けた調査研究、政策提言、社会実験と、規模は違えど互いに公益的な組織として、どのように組織を維持していくのかは当時から共通した課題だったと思います。共同研究を経て、上流研は平成18年2月にNPO法人化し、早川町役場と表裏一体ではありつつも、自立経営を目指すべく歩みを進めてきました。そして、全町民を取材しweb上で紹介する「2000 人のホームページ」、山の暮らしの魅力を発信する情報紙「やまだらけ」の発行、住民の起業や商品開発を支援する「あなたのやる気応援事業」、集落の維持・活性化のサポート、その一環としてのCSRや移住者の受け入れなど、地域の歴史や文化に依拠した住民主体のまちづくりを展開してきました。その成果が認められ、地域づくり総務大臣表彰 団体表彰(総務省、平成19年)、第1回地域再生大賞 特別賞(共同通信社他、平成23 年)、自治体学会・田村明まちづくり賞(日本自治体学会、平成29 年)など、栄えある賞をいただくこともできました。ただし、地域を取り巻く状況は厳しく、上流研ができた22年前と比較して人口は約45%減少(平成29年8月現在1,119 人 ※町HPより)するなど、人口減少と少子高齢化に歯止めはかかっていません。そうした中、これまでの取り組みを総括し、上流研の今後の方向性を見極めるべく、昨年からビジョン、ミッションの再確認や中長期計画の策定を進めています。その中で、上流研の目標は、先人が培ってきた山の暮らしの文化を、我々の世代がしっかりと受け継ぎ、それを次世代に継承していくことではないか、という結論に至りました。早川町の魅力の源泉は、山の人々の逞しい暮らしぶりと、生活の知恵や技術を持った人々であると、設立以来一貫して訴えてきましたが、高齢化が進む中でそうした人々が一人、また一人と減少しているのも事実。町で暮らす若手や中堅世代が「世界に誇れる山人」の後継者となり、その魅力で地域が自立し、その次の担い手が生まれる仕組みや地域の土壌を作りたいと考えています。幸い、我々の活動や町教育委員会が主導する「山村留学」が功を奏し、町外から早川町の自然環境、子育て環境、また人々の暮らしぶりに魅力を感じた方々が毎年コンスタントに移住してきています。そうした中で、学校の維持はもちろん、集落の伝統行事や伝統芸能に移住者が関わり、継続、継承への機運が盛り上がりを見せたり、移住者が地域の資源を生かした商品開発やビジネスに取り組み始めたりと、22年の地道な活動を経て「世界に誇れる山人」でもう一度地域を溢れさせる土台はできたと確信しています。今後、地域の若者、民間企業、そして移住者などが、地域らしさを大切にしながら、より積極的に、より創造的に行動し、その輪をどれだけ広げていけるか、そして町役場や上流研など公的セクターがその動きをどれだけサポートできるかが、早川町創生に向けた最終課題であると考えています。