ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary39開かれた山梨にやまなし暮らし支援センター 移住専門相談員 倉田 貴根「人生の最後にふるさと山梨に貢献する事をしたい」。そう考えていた時に巡り合った今の仕事、山梨移住相談員。有楽町「NPOふるさと回帰支援センター」に設置された「やまなし暮らし支援センター」で山梨県の人口減少を解消する為に設けられた移住相談窓口が私の職場だ。このNPOには全国から様々な移住情報が集まり、その情報や移住ノウハウを得たいと集まる移住希望者、行政職員、議員団視察などで毎日溢れている。所謂、全国唯一の「移住」の交差点。今回「山梨の将来はどうあるべきか」を考えるに当たり、思い浮かんだのはこの場所で出会ったある人の事だった。彼女は30 代前半の子育て世代真っ最中の岩手県会議員。女性だから見える政策を打ち出し、教育、福祉、結婚、子育てに長けた活動を行っている。岩手県を正直羨ましいと感じた。こんな若くしかも女性の議員が県政に関わっている。未来の県政に若い女性の意見が組み込まれている岩手県。私は、ただこの時、岩手県に対する羨望の気持ちで一杯になった事を覚えている。ところで、全国の都道府県議会の女性議員の占める割合をご存じだろうか。東京がトップで28.3%、次に京都、滋賀と続き、東北圏は6 県中4 県が10% 越えである。なんと山梨は2.6% で全国の最下位から2番目。これが山梨を動かし、これからの政策を練って方向性を決める最高機関の実情だ。私は単に女性議員を増やすべきだと訴えているのではない。これは山梨の抱える問題の氷山の一角だと感じているのだ。こうした現実は移住者を受け入れる県内住民のメンタル面での問題点としても表面化している。新しい声を聴き入れる心、他者を受け入れる許容がどの程度あるのかという問題だ。移住相談に来てくれた家族から、移住の報告と共に、地元の方に本当に良くしてもらっているという知らせを頂く事が多くある。しかし真逆の報告を、耳の痛い話も頂くことも事実である。先日東京で行われた山梨大使を招いての「山梨サポーターズ倶楽部」での出来事を紹介する。大使の50 代の女性が私に近づき「山梨県は移住希望ランキングでNO.1だというけれど、はたしてどの程度受け入れる気持ちをもった人達が、そこに住んでいるの?」続いて「私は30 年前に山梨に嫁に入った。しかし、その当時よそ者扱いをされ、どれほど辛い想いをしたものか。未だによそ者扱いをされ、辛い想いをしている人がいる現実をあなたは知っているの?」と。それを伺った時、以前働いていたJALの先輩で甲斐市に住むことになった方からも「山梨の人は…」と、同様の話を20 年前に伺ったことを思い出した。移住したい県NO.1 の山梨県。実は住んでみたら閉鎖的。こんな言葉が垣間見えるような出来事だ。 移住相談員として過ごした過去4年間。相談業務を行いながらその時々、現場から見える山梨の移住受け入れの課題点を発信し続けた。外から見た山梨の魅力。それに気が付いてほしく県内への魅力再認識の必要性を訴えたり、移住希望者の多さに対し受け入れる体制の脆弱さとその構築の必要性等を訴え続けた。ありがたいことに山梨側に発信したことはしっかりと担当者が受け取ってくれ、善処していただいている。ところが今回の課題は非常に壁が厚い。長い山梨の歴史の中で作られた山梨の文化ともいわれる「来たりもん文化」。多様性を認め合いながら一緒に生きていく仲間を受け入れ、素晴らしい山梨の未来を作り上げていく。10年後開通のリニア甲府駅が移住者の大きな入口になるかどうかは、そうした山梨県側の心の持ち方にかかっている。