ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

48この度は、山梨総合研究所の創立20 周年を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。創立からの歩みを振り返りますと、地域社会が抱える諸課題の解決に向けて、経済・環境・教育・文化・福祉など様々な視点から調査・研究に大きく貢献されてきました。 また、県内外の産学官の連携を通じて地域社会の発展に寄与されていることは、誠に意義深いことであります。記念誌に寄せて、我々が地域活性化のために行っている取り組みを、山梨県の地域資源である「温泉」と主産業である「果樹」、そして「健康」の3つをキーワードにお伝えしたいと思います。私ども健康科学大学は平成15 年に開学した県内では新しい大学です。本学は健康科学部理学療法学科、作業療法学科、福祉心理学科および看護学部看護学科の4学科を設置し、県民の健康維持増進に貢献できる医療・保健・福祉の専門家を育成しております。さらに、昨年度より地域支援委員会を立ち上げ、地域医療・福祉に関わる支援を積極的に行っており、北杜市増富温泉における地域創生事業への研究協力などを行っております。北杜市増富温泉では、近年のライフスタイルの変化から、旧来型の数か月におよぶ湯治ではなく、短期間(2~3日程度)の温泉療養をされる利用者が増えてきております。このようなニーズに合わせ、短期間で効果を得られる運動プログラムを考案し、約1年の準備期間を経て平成29 年3月に「運動と温泉入浴を組み合わせたプログラム(第1回増富チャレンジ)」を開催いたしました。増富チャレンジでは、運動と温泉入浴の組み合わせが、感情・情緒面など精神心理機能面にも良い影響を与えることなどを、科学的側面から明らかにすることができました。これらの結果は、従来の湯治客の方々以外にも、近年急激に増加しているメンタルヘルスの不調を抱えている若年労働者などに対しても有効性が期待できます。今後は、運動と増富地域における温泉などの環境資源を組み合わせたヘルスツーリズムとして、多くの方に増富チャレンジを体験していただけるように発展させていきたいと考えております。山梨県において、桃やぶどうなどの果樹は基幹品目であり、主要な産業のひとつとして位置付けられております。しかし、それらを生産する農業従事者の健康については、明らかにされていないことが多くありました。例えば、農繁期と農閑期の活動量(忙しさ)の変動が極めて大きく、農繁期の夏季には心身ともに負担が非常に大きいことは、ご存知の方が多いと思いますが、それらを科学的に明らかにした研究は残念ながら少ないのが現状でした。我々は、峡東地域を中心とした桃・ぶどうを主栽培とする果樹農家106 名の1年間の健康状態を計測した結果、65 歳以上の高齢農業従事者の76%は肩の痛みをもちながら農作業を行っていることがわかりました。さらに興味深いことに、20 歳代から30 歳代の若手農業従事者では、農繁期において62%という高い頻度で倦怠感などの疲労症状を持つことが明らかとなりました。これらの結果を踏まえ、平成26 年度より農業従事者の健康面のサポートとして農務事務所などを回り、農作業前後のストレッチや準備運動の普及啓蒙などを積極的に行っております。また、今後は農作業未経験の新規農業就労者などに対する、農作業時の身体の使い方講習なども計画しております。山梨県の地域資源や産業に関わる健康についての調査・研究を発展させていき、さらに地域社会に貢献できるよう継続して取り組んで参りたいと思います。最後になりますが、山梨県の諸問題の解決に尽力するものとして、山梨総合研究所の更なる発展をご祈念申し上げます。-やまなし・温泉・果樹そして健康-健康科学大学 健康科学部作業療法学科講師 志茂 聡