ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

50今朝、久しぶりに愛宕山から富士山を眺めた。化粧っ気のない顔でそびえ立っている。9月のこの時期だから当たり前と言えば当たり前だ。もうしばらくすると薄化粧が施され、次第に白さは増していく。それこそが真の富士の姿だという人もいるだろう。しかし、どのような顔をしていても富士は富士だし、その立ち位置が変わることはない。山梨総研と私の付き合いは長くもないし短くもない。主に韓国関連の仕事で御一緒させてもらっている。ここ数年は韓国と日本の関係が最悪だと評されており、一昔前の韓流ブーム時とは打って変わった状況だ。ただ、私は関係が良好だった当時も、何となく今のような状況がやってくるのではないかと危惧の念を抱いたことがある。両国の間には未解決の問題や相互理解に至っていない部分が多く存在するからだ。似たような顔をして似たような文化を有し、西洋人から見れば区別がつかない民であるが、気質はかなり違う。正反対だったり水と油のようだったりすることが少なからずある。今年は山梨県と韓国忠清北道が姉妹協定を締結して25 周年を迎える。四半世紀の間「仲良く」付き合ってきたということだ。首長をはじめ行政や議会、経済界、教育機関それぞれで交流がある。両国間の懸案事項で議員間交流が頓挫したこともあるが、関係諸機関面々の努力で山梨・忠北関係は良好に保たれてきた。山梨総研も忠清北道のシンクタンクである忠北発展研究院と毎年研究交流を行っている。互いを取り巻く環境をはじめ、少子高齢化、帰農、有機農業、6次産業、観光振興等々、直面している難題や課題について問題提起して議論を深め、現状を確認し、政策対応に至らしめるべく弛まない努力を積み重ねてきた。今朝、富士山を見ながらこれまでのことを思い起こしてみた。あらためて言うまでもないが、研究機関というのは企業とは違い、金銭的利益に直接つながらないこともしなければならない。人々の幸福や、平等、正義など理念的なテーマを常に意識しながら、それらが長期的にこの地に住む人々にとって、そして日本にとって、アジアや世界にとって有益であることを示さなければいけない。そうした姿勢を山梨総研は維持してきたと私は感じている。 IT革命の渦に巻き込まれ情報過多社会となった現在、山梨総研がこれからも県民の道標となるべく、富士山のように、季節に応じて化粧を変えども、その立ち位置は常に不動で、高くそびえ立ち続けることを願うばかりである。山梨総研よ、富士山のごとく山梨県立大学 国際政策学部教授 徐 正 根