ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

52山梨の将来をエネルギーの視点から考えてみる。県が示しているエネルギービジョンでは、再生可能エネルギーを主体として2030 年までに自給率70%を目指すとしている。県全体のビジョンとしては素晴らしいものと考えるが、再生可能エネルギーが設置の容易な太陽光発電に偏っている印象がある。県の特性として、再生可能エネルギー源としては太陽光以外に木質バイオマスと水力が考えられる。このうち、木質バイオマス発電については小規模設備での効率の悪さと、維持管理費が高い点が普及を妨げている。現時点では、小規模な木質バイオマスの利用は簡便な熱利用に限定したほうが有利といえる。大規模なバイオマス発電は効率もよく、各地で実施されているが、木質バイオマスの入手が困難で、輸入に頼っているところもあり、エネルギーの地産地消の観点からは異質なものといえる。少量の木質バイオマスで発電を行う方法としては、高効率発電設備を持ったごみ焼却炉の燃料として利用することが効率的といえる。発生時期が不規則な木質バイオマスは、一時貯留場所の確保が課題となるが、ごみ焼却炉には大型のごみピットが併設されているためこのような問題は起きにくい点も有利である。人口の集中する県央部には、このような大規模発電施設を立地させることが好ましい。一方、周辺の山間地では急峻な地形を利用した小水力発電が適している。水力発電は、再生可能エネルギーの中では最も安定した発電設備である。小水力でも1000kW近いものは設置コストがかかる点と、それに見合った水源の確保が難しく、立地が限定される。それに対して、地域の集落の電気需要を賄う程度(数10kW)の設備であれば、大きな落差が取れれば、それほどの水量を必要としない。また、取水源が落葉などにより閉塞してしまう問題も、地域住民の協力により、定期的に清掃することで解決可能と考える。小水力発電の一番のネックは水利権問題であるといえる。地域分散型の小規模なものであれば、農業用水の水利権借用等の方策で解決可能ではなかろうか。大規模な電気と熱の自給に関しては時間のかかる問題と思うが、山間部の数十戸程度の集落をモデル地区として、小水力発電による電気の自立と、木質バイオマスによる熱の自立が実現すれば、完全エネルギー自立の地域が生まれることになる。さらに、緊急用としての自家発電設備を設置すれは、送電線も不要となり維持管理費用の大幅削減につながる。この地区をエネルギーの自立化、分散化のモデルとして全国に発信することで、地域活性化にもつながるのではないだろうか。山梨の将来はどうあるべきか都市施設工房 代表 竹内 良一