ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

58「脱・使い捨て社会」を目指して特定非営利活動法人スペースふう 理事長 永井 寛子イベントのごみの山を何とかしたい2003 年、スペースふうがリユース食器のレンタル事業を興したその背景にあったものは、日本中どこのイベント会場でも目にした″使い捨て食器のゴミの山″でした。しかもそのほとんどはプラスチック製の容器です。こうしたイベント文化を次の世代に残してはいけない、との強い思いが私たちを行動へと突き動かしました。あれから十数年が経ち、全国にリユース食器の波は広がっていきました。しかし、リユース食器の登場が日本のイベントのありようを劇的に変えたかというと残念ながら「NO」と言わざるを得ません。環境と経済とのせめぎあいの中で、環境面の優位性だけでリユース食器を普及させることの難しさを私たちは感じてきました。しかし今、プラスチックごみが深刻な地球規模の環境汚染を招いていることを考えたとき、改めてイベントごみの問題点を直視し、広く発信せねばと思います。プラスチックごみのもたらす環境への弊害昨年秋、私は東京荒川の〝川ごみ″の実態を視察する機会を得ました。3キロ先は東京湾という荒川の川岸には、すさまじいまでのプラスチックごみが散乱していました。中には米粒ほどの極小のプラスチックがキラキラしていました。これこそがマイクロプラスチック(川ごみが海に注がれる過程で劣化して小さな粒になったもの)だとわかりました。海に漂うこのマイクロプラスチックを多くの海の生物が誤飲、誤食し、生態系にとって脅威となっています。このようなプラスチックごみによる海洋汚染は世界の海に広がっており、もはや一国だけでは解決できる問題ではないところにきています。「脱・使い捨てプラスチック」へ世界の動き近年、プラスチックごみによる海洋汚染の問題については、先進主要各国でも地球規模の脅威と認識するようになりました。今年(2017 年)6月に開催された先進7か国(G7)環境省会合では、生態系への悪影響を防ぐ対策として「使い捨てプラスチックの削減を徐々に進める」ことが宣言されました。一方、フランスでは昨年、使い捨てのプラスチック製カップや皿を禁止する法律が世界で初めて制定されました(施行2020 年)。ただし、バイオ分解できるプラスチックのものに限って使用が許されるそうです。バイオ分解プラは、通常のプラスチック素材に比べてコストが高くなるため、日本ではあまり普及できていません。しかし環境への影響を考えると、価格で選ぶか、環境を重視するのか、フランスの決断は、世界に大きな問いかけをしているのだと思います。スペースふうの活動は新たなステージへ使い捨てプラスチックの使用を抑制しようという世界の動きは、スペースふうに新たな元気と勇気を与えてくれました。イベントごみの削減という、生活の身近なところに端を発したスペースふうの取り組みが、実は世界の海洋汚染の抑止につながるものだとの認識を持てたことは、スペースふうの日々の活動にも弾みをつけてくれるでしょう。これからは、より多くの環境団体、関係機関との連携を深めながら、未来の子どもたちに美しい地球を残すため、着実に歩んでいきたいと思います。