ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary71山梨総研の20 周年おめでとうございます。今後も山梨の導きの星として本県のあるべき方向を示し、発展をリードしていただくよう期待いたします。さて、山梨の中長期的にみた最大の課題は、リニア新幹線の効果を最大限に活用した県土と県民生活づくり、ということでしょう。山梨総研の今後の研究に期待するところ大であります。リニアの開通によって東京、名古屋さらには大阪が一つの通勤圏あるいは半日交通圏になり、人口7000 万人のメガシティが形成され、リニアを通じて圏域内の交流は活発化します。リニアの開通で、すぐに効果が現れるのは、関西と山梨との交流の活発化でしょう。現在、山梨(甲府)から名古屋に行くには三つのルートがありますが、いずれを使っても三時間半前後かかり、大阪までは四時間以上かかります。西日本の人々にとっては山梨は遠い存在です。それがリニアにより名古屋まで40 分、大阪まで一時間(各駅停車の場合)となり、時間距離が劇的に短縮されます。それは関西方面からの観光客の増、関西企業や資本の進出となって現れてくるでしょう。また、空港とのアクセスも劇的に短縮されます。現在、甲府から羽田空港までは、車でも電車でも三時間前後かかりますが、京浜急行とリニアで一時間で来れることになり、観光客特に外国人観光客は増加することでしょう。ただ、交通が便利になると日帰り客が増加します。日帰り客の観光消費額16,000 円に対し宿泊客47,000 円であり、観光客が増えても宿泊客が増えないと地域経済にとって意味はありません。県内観光地の魅力度アップに力を入れる必要があります。平日は東京で働き週末は山梨に住む「二地域居住」も大幅増が見込まれます。リニア完成のころには週休3日制やテレワークが大幅に普及し、東京と田舎の二重生活が普及するからです。長野新幹線によってブランド力のある軽井沢が東京から一時間となり、所得と時間にゆとりのある人々が大勢住み始めているのが参考になります。有楽町にある「やまなし暮らし支援センター」の頑張りで、東京の地方移住希望者の中で山梨は人気トップですが、これからは県内市町村の移住者受け入れ態勢を強化することが肝要です。産業面では、県内の先端的中小企業にとっては、自動車産業の巨大集積がある名古屋が近くなることがメリットであり、交流が深まってくるでしょう。また、豊かな環境が生産性を高める頭脳産業、たとえば芸術家、デザイナー、IT開発事業所などが立地し、大企業も製造工場よりは研究施設や研修施設の立地を考えるでしょう。マイナスは言うまでもなく、ストロー効果です。高級品の消費は東京に取られ、企業の支店はかなり減るでしょう。これらは甲府市中心街に打撃を与えるものであり、中心街活性化が引き続き大きな課題です。最後に数年前、ある大企業の社長が私に「リニアができれば山梨は研究施設などの適地になるでしょう。しかし、甲府盆地より飯田盆地のほうが、より田舎らしく、名古屋にも近いし良いかもしれませんね。」と言ったのが印象的でした。要するに、中間駅ができる長野県飯田、岐阜県中津川を競争相手として意識する必要があるということでしょう。山梨総研への期待前山梨県知事 横内 正明