ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

72農山漁村地域を訪問し、その地域の課題を聞くと、必ず高齢化、過疎化、少子化、後継者難、人口減少、農地の荒廃、放棄、鳥獣害等々という話を耳にします。これらの課題は、かつては社会問題として、喫緊の重要課題でしたが、今では当たり前のように聞かれることから、これらの課題を当たり前の現状として認識し、対処療法ではなく、根本的な解決策を検討していこうという傾向にあります。では、課題解決という考えではなく、どのような思想や理念でこれからの地域の活性化に取り組んでいくべきなのか、そのことについて、私の考えをご紹介します。私は、一般財団法人 都市農山漁村交流活性化機構において、地産地消、農産物直売所(以下、直売所という)、農家レストラン、都市農村交流について担当しており、業務内容としては、地域からのご依頼をいただき、地域に赴き、直接的なアドバイスをさせていただくことを業務として行っています。特に中心的な業務は、直売所の運営に関するご相談です。ご相談をいただく大半の直売所は、経年の活動を経て意識が市場原理主義に傾倒しており、直売所本来の目的である、地域農産物の流通の窓口という使命がおざなりになっているように見受けられます。要するに、直売所が人気を得ることができた本質は、地元の旬の農産物が店頭にたくさん並んでいるという姿があるからであるということが忘れられていることにあります。集客対策や、お客様のニーズにこたえるために、まずは主力で顔となる農産物が店頭にたくさん並んでいる必要があり、そのためには提供をしてくれる農家との関係を築くことが重要です。そして、農家に農産物の提供を促すためには、農家との日常的な交流や人間関係の構築が重要になります。実は、ここが全ての出発点であり、直売所と農家の人間関係を基軸として、その発展延長線上に、農家と消費者との交流や人間関係の構築を図っていくことで、生産者と消費者の関係が育まれ、それが地域の理解と愛着につながることになります。その、根幹の役割を担うのが直売所であり、直売所を中心とした地域内での顔の見える小さな循環社会が推進されることで、自ずと相互の存在が明確になり、この関係が基となって、地域の活性化につながっていくと考えられるのではないでしょうか。直売所が行う農産物の流通は店頭販売だけでなく、学校給食、事業所食堂、病院、幼稚園、保育園、老人ホーム、社会福祉施設と、数々の提供先があります。そのようなところの人達と農家を直接的につなぐ活動を推進し、交流するシーンが地域内各地で、頻繁に催されるようになれば、地域は自ずと活性化し、元気になるのではないでしょうか。この活動の中に、地域の将来を担う子ども達、家族を巻き込んでいけば、必然的に地域に対する理解、愛着、居場所、想い、経験、思い出、歴史等が積み重なり、地域から出て行く選択肢よりも、地域に残る道を選ぶ子ども達が増えていくのではないかと思います。そのための活動=地産地消をこれからも進め、支援して参ります。農山漁村地域を救うのは、地産地消ではないでしょうか。「地産地消が地域を救う」地域活性化のためにこのような取り組みを行っています一般財団法人都市農村漁村交流活性化機構 業務部長 吉岡 靖二