ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

20th Anniversary731、制度の概要地域限定特例通訳案内士(以下、特例通訳案内士)とは、外国人観光客をガイドするための国家資格である。外国人宿泊客が年間137 万人(県民人口の1.6倍)に及ぶ山梨県にとって、地域振興の鍵となる重要な資格となりえる。そのため本県では、この数年県独自の制度を模索してきた。2015 年に入り山梨県は、山梨県立大学と連携した特例通訳案内士制度の検討を始めた。そして同年11月に改正構造改革特別区域法に基づき、「富士の国やまなし通訳ガイド特区」を内閣府に申請し認定された。同年末、本研修事業を下記の3段階で立ち上げ、制度として安定させる構想が作られた。その中で山梨県立大学も研修事務局に参加し、本制度の企画立案、追加支援事業、施設の提供などの面で、全面的に連携することになった。1)第1段階(2016年度)山梨県が組織する特例案内士研修事務局により、社会人向け特例通訳案内士の養成研修を創設する。あわせて同研修合格者に対するフォローアップのためのマッチングセミナーなどを企画実施する。2)第2段階(同年度)研修制度の持続性向上と、若者の受講および起業促進のため、山梨県立大学国際政策学部を改組し、上記1)の研修と同等な特例通訳案内士の副専攻コースを設置し、大学での講義形式による研修を同時に開始する。3)第3段階(2017年度以降)上記2)の講義を、文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」による単位互換制度を活用し、県内の他大学の学生にも開放し、普及拡大するためのシステムを構築する。2、事業成果(1)研修事業の成果2016 年に第1期生として、英語・中国語・タイ語で計70名の特例通訳案内士が誕生した。また2017 年8月より、第2期生として79 名の研修を開始し、68 名が合格した。第1期生は、通常の外国人向けツアーガイドのほか、観光関連での多様な事業を創出し、度々テレビや新聞などで報道されている。例えば、ガイド関連業務では、オリンピックの事前合宿誘致の他、ゲストハウスや観光案内所・美術館などで活躍している。また地域振興政策関連では、外国人を通じたまちおこしを企画し、さらに教育分野では、山梨県立大学などでの講師や、社会人向けおもてなし英語講座を開始した者もいる。また大学では、既述のとおり全国に先駆けて山梨県立大学に、特例通訳案内士の副専攻課程が設置され、現在約60 名の学生が講義を受講している。さらに現在、COC+を共同申請した県内他大学の学生に対しても、試験的に単位互換制度を活用し講義を開放し、受講生の募集が開始されている。(2)フォローアップ事業の成果上記の他、特例通訳案内士資格取得者に対して、山梨県立大学の関連講義を開放し、「旅程管理主任者資格」(観光庁長官認定資格)を取得する機会を設けた。これにより同案内士12 名と本学学生13 名の計25 名が資格を取得した。加えて2016 年度より大学生を研修事務局にボランティアスタッフとして派遣し、本研修制度全体の工程表やマッチングセミナーでの資料の作成、研修参加者に対する動向調査などを実施している。今後、本制度を地域創生に活用していくためには、社会的需要と若者の関心を喚起していく必要がある。そのためには、今後ボランティアの他、長期インターンシップなどによる参加方式を検討するなど、大学生が本制度の改善に直接関与できる機会を作っていきたいと考えている。特例通訳案内士による観光まちづくり山梨県立大学 国際政策学部教授 吉田 均 同大3年 田中 優良