ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

74フードバンク山梨は、私の小さなボランティア活動から始まり、9年目を迎えました。これまで多くの挑戦と失敗を繰り返しながら、現在があります。始まりの頃は「フードバンク」という言葉すら知らない方々ばかりでした。現在は、食品提供同意書締結企業は55 社に、市民からのフードドライブで集まる食品は年間50 トン近く、さらに資金面で支えて下さる企業は200 社、個人においては延べ1800 人を超えています。ボランティアの協力は年間延べ705 人で、1回のイベントで200 人を越えるボランティアが集まるようになりました。2015 年から、全国に先駆けて山梨で始まった「フードバンクこども支援プロジェクト」は3年目になりました。今年の夏休みは546 世帯、子ども1129 人を支援しました。この活動は、長期の休みに給食がない為に空腹だったり、きちんと食事がとれない子どもたちへの食料支援、学習支援、そして夏休みの楽しい機会をつくるバーベキュー大会等のイベントを組み合わせた子どもの貧困対策のモデルとなる活動です。子どもの貧困率13.9%、7人に1人という数字は分かっていても、その子どもたちがどこにいるのか、社会の中で見えない状況があります。「フードバンクこども支援プロジェクト」はその見えない困窮する子どもたちを学校や行政と連携することで支援を可能にしました。日本特有の恥の文化で「人様に知られたくない」「人様に世話になってはいけない」という風潮がSOSを出しにくい社会にしており、その事がさらに子どもの貧困を見えにくいものにしています。長年子どもの貧困について研究されている首都大学の阿部彩教授は「日本は平等社会だと幻想を抱いていると、さほど深刻に思えないかもしれないが、幻想を早く捨て、貧困と格差に対処する覚悟が必要だ」と言っています。「運動靴がボロボロで何年も使っているようであった」「学校期間中は給食があるので食に困ることはないが、夏休み・冬休み等食べることに困るだろうと思った」「かなりサイズが合わなくなった衣服が見うけられる」これは、2016年にフードバンク山梨が教員を対象に行なったアンケート調査の回答です。飽食の日本において、社会からは見えにくい子どもたちの厳しい現実がわかってきました。今こそ、地域の中で身近に暮らす困窮する子どもたちへの支援に力をそそぐことが大切だと考えています。それは未来の山梨を担う子どもたちの夢と希望を失わせない事につながるのではないかと思っています。リーマン・ショック後に生活困窮者が急増したのは、経済状況の悪化に加え本来セーフティネットとして機能するはずの地縁、血縁、社縁などの「縁によるセーフティネット」が衰退していたことも原因だと考えています。子どもに関して言えば、祖父母が近くにいれば、子どもが熱などを出した時に一時的に預かってくれたり、子ども同士で遊ぶ居場所や関係性も地域の中にたくさんあり、現在のように貧困世帯の子どもや家族が孤立することを防いでいました。 これらの縁によるセーフティネットが衰退した今、フードバンク山梨は、企業や県民からの食品寄贈、食品の小分けや賞味期限チェック、発送作業のボランティアなど、市民の多様な協力で心と心を繋ないで、失われた縁の再生につながる新たなセーフティネットを作り出していきます。特定非営利活動法人フードバンク山梨特定非営利活動法人フードバンク山梨 理事長 / 全国フードバンク推進協議会 代表「ひろがれ、こども食堂の輪!」実行委員会 相談役 米山 けい子