ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

84我が国は経済停滞・人口減少期を迎え、その対策として東京一極集中是正、地方回帰など地方創生施策が進められている。国を強くするため、地方が強くなるためにも、地方が運営・財政の両面で「依存」から「自立」を志向し、中央政府は国家存立や全国的視点に関わる政策に専念すべきと考えるが、現実はそうは進んでいない。明治期、近代化の必要性から経済の集中・中央集権に力点が置かれた。地方自治は旧憲法に規定されず、市制町村制、府県制・郡制の定めに委ねられた。戦後、新憲法第8章「地方自治」が規定されるも、GHQ と日本側との調整により、あえてその概念は曖昧のままとされた。中央と地方の調整ルールを曖昧にすることで、時々で臨機応変に解釈していこうという工夫であった。平成6年、第24 次地方制度調査会が、住民が地域で「多様な価値観、個性、創造性を最大限発揮」し、自治体が「個性を生かした多様で活力あふれる地域づくり」ができるようにと答申、その後の地方分権推進法、分権一括法へと進む。これにより分権改革は加速するやにみられたが、未完に終わる。これを受けて平成18年の地方分権改革推進法以降の第2次分権改革でも、政府・与党は地方創生の掛け声ばかりで、今日においても地方の声が反映されているとは言い難い。担当大臣から過去、「地方で良い案を出して来たら国が採択する」との発言もあり、地方の地位はまだ低い。一方、地方の側でも交付金を受けるため、国の重点分野に迎合する形で事業計画を「創意工夫」したという話を耳にするが、本末転倒である。新たな時代への対応、明治期から続く近代(化)のパラダイムを超えるため、今こそ地域のことは地域で解決し生み出していく、分権的・自立的発想への転換が求められよう。改革は地方の自立に向かっているか山梨県総合政策部政策企画課 家登 正広山梨総合研究所の設立と立ち上げ、運営に携わった観点から、今後、期待することを記します。地域シンクタンクである山梨総合研究所は、「地域の知恵袋」を掲げ、当時の自治体ではあまり対応がされてなかった「データの収集・分析手法を使った政策形成や事業計画の策定」などを支援することを目的に設立されました。職員はリサーチ精神を持ち、また、自治体に対して政策立案のベースとなる調査の提案を行うなど、データを基礎とした政策づくりの浸透を図っていました。その後、大手調査機関をはじめ多くのシンクタンクでは、国や自治体に対する役割が変わり、政策立案等に対する総合的な支援からより細分化された調査への専門性と、提案する政策の実効性が問われるようになっています。また、私たちの社会は、人口増加をベースとした成長至上の時代から人口減少の時代へと、また引退年齢を70~80 歳とする「100 年ライフの時代」へと移行しており、これまでのような過去のモデルが役に立たなくなっています。こうした変化の時代において地域シンクタンクが、より市民・住民に近い存在である自治体の「知恵袋」「ブレーン」として地域の発展に貢献し続けるためには、時代に対応する変わる力が必要であり、例えば次のような取組を期待しています。これまでのリサーチ集団から、目指す地域像の実現を調査の専門性と政策の実効性の点からサポートする『実践的地域政策の専門家集団』に転換すること。そのため、大学等の知や教育機能と連携して、調査研究の専門性を高めること。また、データサイエンティスト等を活用し、従来のアンケート調査等の手法に加えビッグデータ解析等の新たな量的調査や質的調査手法を用いて『使えるデータづくり』を進めること。さらには、自治体に対して従来行っていた調査の企画提案ができる体制を整え、実践的地域政策の形成を支援することなど。今後も時代に対応する取組を間断なく続けることにより、山梨総合研究所が常に新時代の地域シンクタンクモデルとなることを期待しています。新時代の地域シンクタンク-山梨総研に期待すること山梨大学 窪田 洋二