ブックタイトル山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

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概要

山梨発の地方創生に向けて 公益財団法人山梨総合研究所 創立20周年記念誌

94私は平成15 年から20 年までの5年間、山梨総研に研究員としてお世話になりました。生まれてはじめての東京圏からの転居であり、見るもの、聞くこと、あらゆることが新鮮でした。農業や山での生業が身近で、無尽という古来の風習が今なお人の暮らしに根付いています。私にとってみれば、それまで本当に狭い世界の中で生きてきたということを実感させてくれる良い機会を得たと考えています。山梨に限らず、全国あらゆる地域で、今なおそこにしかない暮らしや文化が息づいています。そのため、地域の課題は千差万別であり、その解決には地域ならではの取り組みが求められているはずです。行政は、他地域の先進事例の視察を好み、横展開を模索しがちです。そうした視点も時には必要かもしれませんが、真に求められているのは、他の地域とは異なる視点での課題認識とその解決法です。山梨総研のような地域シンクタンクには、東京とは異なる地域ならではの発想やアイデア、そして智恵が求められています。県庁所在地の甲府市には甲府市なりの、人口550 人の丹波山村には丹波山村なりの課題があり、それぞれに最適解を模索しなければなりません。山梨総研には、地域なりのやり方を生み出すという、とても重い責任が課せられているわけです。山梨総研が誕生した20 年前、全国に数多くの地域シンクタンクが生まれました。中にはすでに役割を終え、解散してしまったものもあるでしょう。しかし、人口減少が本格化し、その濃淡に地域性がある今こそ、蓄積してきた智恵と築き上げてきたネットワークを生かした、地域ならではの発想による取り組みが求められているはず。地域の“知”としての山梨総研の活躍に期待しています。山梨総研に期待すること株式会社日本総合研究所 上席主任研究員 藤波 匠地方が疲弊していると言われて久しい。確かに景気の良さは実感できない。少子高齢化、人口減少、社会インフラの維持、自然災害への備えなどさまざまな課題があげられるが、普段意識に上ることはない。何気ない日々を無事に送れることが幸せである。街中では甲府駅南口の整備が進み、北口で数棟のマンション建設が予定されている。駅から少し離れた自宅近くでもマンションが建設中である。郊外のショッピングモール周辺では新たな住宅地が広がり、スーパーやドラッグストア、飲食店などが賑わっている。我が家の週末は折り込みチラシを見比べ、チラシについているクーポンを持って買い物に出かける。中心街へはあまり足は向かない。時々スマホを使って欲しいものや行きたい場所を検索する。とかく安価なもの、利便性を求めて行動しがちである。時にはちょっと足を延ばしてワイナリーに行ったりする。山梨はワイン以外にも果物やジュエリー、織物など全国有数の産地であるが、あまりに身近でありがたみが薄いような気がする。豊かな自然も歴史ある寺社も当たり前のように存在し、普段の生活の中で意識することは少ない。小さい頃は、田舎の祖父母の家で虫取りや川遊びをしたり、夏祭りに行った。今はその家には誰もおらず、年に数回墓参りに行くだけである。少し寂しいが仕方がない。失って初めて気がつくことが多い。おそらく持続可能な社会は、今のままの生活を継続する社会ではない。変わっていくのである。例えば、リニア新幹線は地域をどのように変えていくのか、AIやIOTなどの技術革新は何をもたらすのか、さまざまな要素が絡み合って将来像を描くのは難しい。時代は変わっていくが、人の思いはどうだろうか。私たちの将来株式会社山梨放送 営業本部進行部長 古屋 政司