問われるつながりの質
毎日新聞No.705【令和7年12月21日発行】
私たちは日々、どれほど「幸福」を感じているのだろうか。
イギリス・オックスフォード大学が発表した2025年の「世界幸福度調査」によると、幸福度1位はフィンランドで10点満点中の7.7点、次いでデンマークの7.5点など北欧諸国が上位を占めている。一方、日本は6.1点で147カ国中55位と、決して高い順位ではない。都道府県別に見ると、デジタル庁の地域幸福度(Well-Being)指標では、長野県が6.5点、山梨県が6.4点と、全国平均よりも高い水準にある。
今年、山梨総合研究所が実施したWEBアンケートでは、山梨県民の幸福度は5.8点と、先ほどの指標よりも低い結果となった。その中でも筆者が特に気になったのは、18~29歳の若者の幸福度が5.4点と、他の年代よりも低くなっていることである。
それはなぜか。
前述の「世界幸福度調査」によると、若者の幸福度の低下は、我が国に限らず世界的な傾向であり、そこには社会的つながりが大きく関係しているのだという。コロナ禍により、10~20歳代という社会との関係性を築く大切な時期に、対面での交流を制限せざるを得なかったことは、若者の幸福度が低下する一因となった可能性はあるだろう。
さらに、こうしたつながりは、「量」だけではなく「質」も重要であると調査結果は指摘している。例えば、自分と他者との考え方に違いを感じたときに、無理につながりを築くことで自分の気持ちが落ち込んだり疲弊したりする「感情汚染」を避ける傾向が強まっている。その結果、必要なときに他者に頼ったり相談したりすることが出来ず、結果として、孤立感の増加や幸福度の低下につながっているということであろう。
職場のみならず、家族や友人関係においても、コミュニケーションに対する過度な不安や遠慮が、社会的なつながりの質を下げてしまうことにつながっているのかも知れない。些細な言動が「ハラスメント」とも受け取られかねない今日。幸福度を高めるためには、多様性を尊重しつつ自らの意見を適切に伝えることが重要である。こうした工夫を重ねることで、孤立感を和らげ、より豊かな社会的関係を築くことができるのではないだろうか。
(公益財団法人 山梨総合研究所 調査研究部長 佐藤 文昭)