生成AIとの共創
山梨日日新聞No.69【令和7年8月18日発行】
近年、AI技術の進化は目覚ましく、その中でも「生成AI」は、ビジネスや教育、医療分野など、あらゆる領域でその活用が広がっている。文章の要約や画像・動画の作成など、多様なコンテンツを自動生成できるこの技術は、既存のビジネスや業務のあり方を変えていく存在として、世界中で大きな注目を集めている。日本においても、生成AIを効果的に活用することで、少子高齢化や人口減少などによる労働力不足の解消や生産性向上など、経済の活性化だけでなく、社会課題の解決にも役立つことが期待されている。
総務省が令和6年度に実施した「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」によると、個人で何らかの生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」と回答した割合は26.7%と、令和5年度に実施した同様の調査と比較すると約3倍となった。企業においても同様に、生成AIを「積極的に活用する方針」もしくは「活用する領域を限定して利用する方針」と定めている企業の割合が、令和6年度の調査では49.7%となり、前年度の調査から7.0ポイント増加していることから、生成AIを活用する人や企業が増えていることがわかる。
一方で、生成AIの活用には特有の課題やリスクも明らかになってきていることから、活用にはいくつかの注意点がある。まず、生成AIが作成した情報の正確性や信頼性の問題である。生成AIは過去のデータから内容を作成しているが、そのデータの中には誤った情報や偏った内容が含まれる可能性があることや、統計データの一部を抜粋した内容としては正しいが、データ全体をみると違った解釈となる場合がある。また、AIが生成した内容が既存の著作物に酷似している場合、意図せずして著作権やプライバシーの侵害といった法的問題を引き起こしてしまう可能性もある。これらの問題に対処するには、生成AIの利用に際しての明確なルールや指針を設けることが重要となるだろう。例えば、生成AIが作成した内容の出典を明示することや、内容に誤りがないか、法的問題を引き起こす可能性はないかなど、人の目での確認を必須とするなどの対策が考えられる。
現時点での生成AIの精度はまだ不完全であるが、日々進化を続けており、今後はさらなる高精度化や多機能化が期待されるだろう。しかし、生成AIが正しい情報を提供するようになったとしても、自分自身で考え、理解することを放棄してはいけない。例えば、生成AIを活用して類似事例をまとめたり、資料や図を作成したりすることはできたとしても、最後の意思決定は人が判断するからである。技術の進化に伴い、生成AIを使いこなすスキルが、今後はさらに求められるようになるだろう。
生成AIは社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めているが、その活用には慎重な姿勢と継続的な議論が必要である。また、自分で生成AIを使いこなすためにも、生成AIがどういうものか、なにが得意でなにができないのかを知るためにも、試行錯誤をしながら繰り返し使い続けることが重要となるだろう。生成AIはあくまで「ツール」であり、自身の業務や作業に「役立つもの」である。生成AIを使いこなすスキル面とともに、生成AIを活用する人側の意識面での変革をすることが、生成AIとの共創の最初の一歩に繋がるのではないだろうか。
(公益財団法人 山梨総合研究所 主任研究員 藤原 佑樹)