社会改善としての評価
毎日新聞No.719【令和8年7月5日発行】
皆さんは「評価」といったらまず何を思い浮かべるだろうか。学校ではテストの点数や通知表、会社では人事評価、日々の生活では飲食店の口コミやSNSのフォロワー数など、意外と身近な所で、様々な分野に「評価」が存在する。
私は先日、NPO法人日本評価学会が開催した講座で「評価」を学び、評価士の認定を受けた。2026年3月現在、同学会から認定を受けた評価士は全国に1,079人おり、「評価」の現場で活動している。
先に挙げた「評価」は、他者が自分を評価するもの、自分が他者を評価するもの、自分が自分を評価するものに大きく分けられる。一見すると、そこには、評価を行う者、評価を受ける者の二者しかいないように思われる。
日本評価学会が定める「評価倫理ガイドライン」では、それら二者の他に、評価を依頼する者が加えられている。評価を依頼する者とは、文字通り「評価」の実施を依頼する者で、評価結果を受け取り、意思決定に利用する者とされている。例えば、行政が実施する各種政策や事業を評価する場合、自治体が依頼者となる。
つまり、「評価」は決して「行う者」と「受ける者」の二者だけで行われるものではなく、それ以前により良い評価を実施するために、その方法を評価者とともに考えるのが依頼者である。この「依頼する者」が「評価」の結果を受けて意思決定を行うこととなる。
ここで言う「より良い評価」とは、公益につながる意思決定に役立つ評価という意味であり、ひいては皆さん自身にもつながる場合もあり得る。そう考えると、「評価」はどこの誰とも知らない誰かが誰かを何となく「評価」しているのではなく、「評価」を「受ける者」を取り巻く社会の改善のための活動として行われていると考えることができる。
また、学会ガイドラインでは、評価を行う者に対し、判断基準を明確に提示すること、社会や人々への敬意を払いつつ、独立・公正の立場で価値判断を下すことなどを求めている。
今日この瞬間にもどこかで「評価」が行われている。いちいち誰かの「評価」を気にして生活を送る必要はないが、身の回りの「評価」が、誰を対象に、どのような基準で行われ、その結果が社会でどのように生かされているのかに目を向けてみてほしい。そうした視点は、自分たちの社会をより良くする「評価」とは何かを考えるきっかけになるはずだ。
(山梨総合研究所 主任研究員 宇佐美 淳)