スニーカーで楽しく歩く
毎日新聞No.690【令和7年5月25日発行】
東京メトロ(株)の駅員や乗務員が勤務中に暗色系のスニーカーの着用も可能となるというニュースを聞いた。働きやすさ向上と多様性尊重が目的ということで、髪の毛、装飾品や爪、ネクタイの着用など業務に支障のない範囲で選択できるものの一つである。駅構内などを移動することが多い駅員や乗務員の方にとって、スニーカーの方が勤務しやすく、足への負担も少ないためと思われる。
なぜ、スニーカーに注目したのか。それは私自身、革の靴には苦手意識があるためだ。足のサイズが大きく、サイズを探すのが大変なこと、新しい革の靴は、最初足のトラブルに発展することが多かったことなど、革の靴には長年悩まされてきた。しかし、社会人になりたての頃は、スニーカーで勤務するという雰囲気はなく、しぶしぶ革の靴を履いて勤務していた記憶がある。
一方で、歩きやすいスニーカーなどで通勤・勤務することは、楽に歩ける、歩く距離が伸びる、歩く速度が上がるなど効果があり、それが結果として健康にいい影響をもたらす。
そこで、スニーカーの歩きやすさに歩く楽しみや歩いた先の楽しみを追加してはどうか。旅行先やテーマパークなど、楽しいことがあると普段よりたくさん歩くことができるように、日常でも自分なりの楽しみを見つけることでいつもより距離が伸びても楽しく歩くことができるのではないか。スポーツ庁では、「FUN+WALK PROJECT」という歩くことをもっと楽しく、楽しいことをもっと健康的なものにするプロジェクトを進めている。これは、歩くことからスポーツ習慣の定着を図ることを目的とするもので、「歩く+〇〇」の様々な提案がなされている。
私も、職場にスニーカーを置いておくことで、昼休みに楽しく歩くことを心がけている。運動不足の解消が最初のきっかけだが、始めてみると気分転換やリフレッシュもできるし、自分なりの楽しみを見つけて継続できている。目的地があるときは往復の道をあえて変えて、違う景色を楽しんだり、行ったことのない店へ行ってみたり、通ったことのない道を歩いてみたりと私なりの小さな楽しみは簡単なものばかりであるが、スマートフォンのアプリなど、歩数という成果を達成感として楽しみにするのもよいかもしれない。
スニーカーを手近に置くことと歩くことを楽しむことで、歩くことが習慣化される。そしてそれが健康につながるという好循環を皆さんも始めてみてはいかがだろうか。
(公益財団法人 山梨総合研究所 主任研究員 清水 季実子)