ゴルフ×体験=新価値
毎日新聞No.713【令和8年4月12日発行】
私の趣味はゴルフである。2025年度も多くのラウンドを重ねた。近年、山梨県内のゴルフ場ではプレー料金の上昇が続き、予約も取りづらくなってきている。一方で、駐車場に並ぶ車を見ると県外ナンバーも多く見られ、首都圏からのアクセスの良さや通年営業といった強みを背景に、県外からの来訪者が多いことを実感する。山梨のゴルフ場は、単なるスポーツの場にとどまらず、県外の人を呼び込む有力な観光資源としての役割を強めているのではないだろうか。
ゴルフは消費額の大きいスポーツである。プレー代に加え、飲食や宿泊、交通、さらには用品購入など、多様な支出を伴う点が特徴である。また、観光と結びつけることで地域経済への波及効果は非常に大きくなる可能性を持っている。しかし現状では、県外から訪れる多くのゴルファーがゴルフ場内で時間を過ごし、ラウンド後はそのまま帰路につくケースが少なくない。いわば「ゴルフ場で完結する消費」にとどまり、地域全体への広がりという点では、まだ十分とは言えない状況にある。
一方で、県内には宿泊施設を備えたゴルフ場や、食事に力を入れている施設も存在している。こうした資源を活かし、プレーにとどまらない付加価値を創出できれば、地域への波及効果は大きく変わるはずである。
例えば、春には桜が咲き誇るコースでのプレーそのものが特別な体験となる。プレー後には、地元のレストランで富士山の景観や桜の余韻を感じながら、地元食材を活かした特別な料理やワインを楽しみ、そのまま宿泊するなどして、山梨ならではの魅力をより深く感じてもらうことができるだろう。
さらに、これまで他県のゴルフ場でプレーしている客層に向けた仕掛けも重要である。著名なゴルフコーチによる特別レッスンや、有名YouTuberによるゴルフコンペを地域企業と協力して開催することで、ゴルフとともに地域の魅力を体感してもらう機会を創出できるのではないか。
このように、ゴルフをきっかけに人の流れと消費の流れを生み出し、山梨県全体へ広げていくことが重要である。その積み重ねが、地域の魅力をさらに高め、持続的な発展につながっていくのではないかと考える。ゴルフを起点とした地方創生の可能性に、今後も大きな期待を寄せたい。
(山梨総合研究所 主任研究員 在原 巧)