トライアスロンの舞台裏


毎日新聞No.721【令和8年8月2日発行】

 先日、長野県諏訪市を中心に開催された「スワコ エイトピークス ミドル トライアスロン」に参加した。今年で4回目を迎えた大会である。
 新潟県では、佐渡島で開催される「佐渡国際トライアスロン大会」が有名で、これまで36回の歴史を重ねている。筆者も過去に何度か参加した経験がある。

 近年、トライアスロンをはじめとする過酷な持久系スポーツへの関心は高まり、各地で地域活性化の一環として大会が開催されるようになっている。
 山梨県でも、2022年から「Mt.富士トライアスロン富士河口湖」が開催されている。山梨県におけるトライアスロンの普及・育成・競技力向上を目的としている「山梨県トライアスロン連合」が競技の主管を担っており、筆者も連合の会長として大会運営に携わっている。
 運営側として関わるのと、選手として参加するのとでは異なる景色が見えてくる。その一つが参加者の表情である。トライアスロンでは前日に受付を行うのが一般的だが、会場には満面の笑みを浮かべた参加者が集まり、その様子はまさに「大人の遠足」のようだ。
 仲間同士や家族、カップルなど、思い思いの仲間と訪れ、高価な「おもちゃ」であるバイク(自転車)を持ち込む。バイクは20万円程度のものから、中には100万円近くするものも珍しくない。
 人気の高まりや物価上昇を背景に、参加費も年々高くなっている。例えば、佐渡国際トライアスロン大会で、バイクで佐渡を1周するAタイプの参加費は、20年前が3万円、10年前が38千円、そして今年は5万円である。参加者にとっては、それだけの参加費を支払う以上、大会を存分に楽しみたいと思うのは当然だろう。しかし、その舞台を支える運営側には大きな苦労がある。
 準備は大会のおよそ1年前から始まり、幾度となく会議を重ねて本番を迎える。当日は自治体職員やTO(テクニカルオフィシャル)と呼ばれる審判員、ボランティアスタッフなど、多くの人が大会を支えている。
 諏訪湖の大会では、参加者約1000人に対し、ボランティアを含めた大会関係者も1000人を超えていた。

 アウトドアスポーツの大会は、地域ににぎわいをもたらし、参加者には挑戦する喜びを与えてくれる。今後ますます注目を集めるだろう。しかし、選手がゴールで味わう達成感の陰には、大会を支える多くの人たちの汗がある。そのことに思いを巡らせると、大会はより豊かで、かけがえのないものに感じられるのではないだろうか。

(山梨総合研究所 理事長 今井 久