“格差”生まない準備を


毎日新聞No.4 【平成10年7月2日発行】

~高度情報化社会の到来に向けて~

 米国のパソコン普及率が50%に迫る勢いだという。同国の市場調査機関に よると、パソコンを所有している世帯は4500万世帯に上ったそうである。

 米国の好景気の立役者は、コンピュータやその周辺機器をはじめとする 「情報化関連投資」だといわれている。日本がバブルの後始末に追われている間 に、米国は持続的な経済成長を手に入れたばかりか、高度な情報化社会を築きつ つあったのだ。

 日本では、「実効ある実行」として政府が打ち出した総合経済対策に、情報 通信分野も盛り込まれている。情報化の基盤整備で景気の回復をはかり、きたる べき高度なネットワーク社会に突入しようということであろう。

 この高度情報化であるが、全国で様々な実験が行われていて、具体例は枚挙 にいとまがない。簡単に言えば、「電波やケーブル、それに衛星を使って、あり とあらゆるところを結びましょう」ということであり、現在のテレビ放送もデジ タル化されて、チャンネル数も増えることになりそうだ。通信と放送が融合し、 さまざまな情報がテレビやパソコンを通じて我が家に飛び込み、逆に我が家から も飛び出していくのであろう。しかし、「産業革命」に匹敵するとも言われる高 度情報化の実現には、情報リテラシー(情報機器を取り扱う能力や、情報を収集 ・活用する能力)の向上が不可欠であることは周知の通りである。 

 さて、最初の話に戻ると、日本におけるパソコンの普及率は、郵政省の昨年 度の調査によると28.8%となっている。米国に及ぶべくもない。しかしその米国で も、世帯の経済力によって、パソコンの普及はバラツキを見せているという。

「100%の普及率」、「100%の利用率」とはいかないであろうが、高度情報化社会の 進展は、あらたな格差を生み出す恐れをはらんではいないだろうか。技術的なこと は、その道の専門家の手に委ねるとしても、情報化社会を迎える準備は、だれもが しておかなければなるまい。ほこりをかぶったままのパソコンのスイッチを、久し ぶりに入れる時がきたようだ。

(山梨総合研究所研究員・水石和仁)