VOL.73 「67%」


 認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの「2015年度年次報告書」によると、2008年調査では、移住希望者の70%を50~70歳代が占めていたが、2015年調査では20~40歳代が67%を占めたという。また、移住希望者の相談件数は、2008年からの8年間で約10倍と膨らんでいるという。
 先日参加した講演会では、「東京の企業で働いている人が、山梨への移住を希望して、就職面接会に参加し、自分自身を猛アピールした結果、県内企業への入社が決まり、家族で山梨に移住した。その後、その移住者の働きのよさから、山梨に移住を希望し職を探している人を紹介してほしいと企業が依頼してきた。」と、やまなし暮らし支援センターの移住相談員が話していた。
 移住に関して必ずネックになるのが就職先であるが、企業の中で有能な人材を中途採用したいというニーズはあるのではないか。企業にとっては即戦力の中途採用人材は大きな魅力であり、そこに移住希望者との実りあるマッチングが成就する可能性は高いと感じる。
 県内で行われる合同就職面接会の多くは新卒者を対象としたものであるが、現在首都圏の企業に勤めている移住希望者を対象とした就業面接会はどうだろう。首都圏から人材誘致を行うのである。その為に自治体は、面接会のセッティングをはじめ、利用可能な空き家情報の提供、さらには、面接会をきっかけとして転入した場合の助成金を設定するなど、移住への後押しや、移住後の生活の不安や不自由を解消するべく環境作りをする。
 20~40歳代の移住は、人口の社会増につながり、また自然増も期待できる。さらに、税収増にも繋がるのだ。67%をどのように移住につなげるか。その為には、ニーズを把握し、ターゲットを絞る事が必要である。

(研究員 渡辺 和樹)