VOL.115 「0.48倍」


 年が明け、「就職フェア」、「就職ガイダンス」、「合同会社説明会」などの言葉を耳にしたり、目にしたりする機会が多くなってきた。
 昨年、2018年の有効求人倍率は、「1.61倍」を記録するなど、ここ数年は、全体的には就職売り手市場が続いている。
 毎年この時期になると思い出すことがある。

 今から、20年程前、「就職氷河期」と言われる、就職難が社会的に問題となった時代があった。
 1993年からは、有効求人倍率が「1倍」を下回る時代が、10年以上続いた。金融不安やITバブルの崩壊などで、特に雇用環境が冷え込んだ1990年代後半~2000年頃は、「超氷河期」とも言われ、1999年は、有効求人倍率が、「0.48倍」という2人に1人しか就職ができない厳しい年となった。
 この当時の新卒者は、現在、40歳代となっているが、職が不安定な人も多くいたことから、引きこもりや未婚化、晩婚化などの社会問題につながっていったとも言われている。国などもこの状況を改善するため、ようやく就職氷河期世代をターゲットとした支援に乗り出した。

 最近では、新卒一括採用や終身雇用、年功序列などに象徴される、いわゆる日本型雇用のあり方を巡り、議論が行われている。就職は、社会参加の第一歩でもあるため、柔軟にその機会が得られるようになることを期待したい。

山梨総合研究所 主任研究員 小林雄樹