VOL.120 「13人」
STAY HOMEの期間を皆さんはどのように過ごしただろうか。
断捨離に励んだ方、料理にチャレンジした方、家族とのゆっくりとした時間を楽しんだ方など、制約がある中でも「今できること」「今だからできること」を探した期間だったのではないだろうか。他にも、人間関係や仕事への向き合い方を見つめた方もいるかもしれない。
そこで今回は、手前味噌で恐縮だが、山梨総合研究所の仕事への向き合い方を紹介させていただきたい。当研究所は「地域シンクタンク」を標榜し、自治体様の多種多様な計画づくりの支援も行っている。13人とは、当研究所の職員数である。少ない人数ではあるが、チーム力を活かして1つ1つの計画づくりに真剣に向き合っている。
以下は、誰よりも真剣にプロジェクトに向き合う同僚が、ある自治体への企画提案書の中で想いを綴った文章の一部である。
『当研究所の研究員は全員が地元山梨の県民・県出身者であり、業務を請け負った市町村には、必ずといってよいほど親族や知人が在住しています。その地に暮らす人々の「顔」が見えるからこそ、どうしたらその人々を笑顔にできるのかを常に考え続けます。計画書には、市町村に寄せる想いが宿ります。また、計画策定の過程は子育ての感覚に近いかもしれません。その市町村の歴史、現況、課題を踏まえ、官民の多様な意見を「計画」に落とし込んだ冊子には、愛おしさすら覚えます。いくつもの計画に参画しても、納品のたびに、新たな子どもが巣立っていくような気分になります。子の成長、巣立ちは親にとってうれしいものですが、計画の具現化を見届ける責任を感じるとともに、身の引き締まる感覚にも襲われます。』
計画策定はその最終的な内容とともに、関係者を巻きこむ策定プロセスも非常に重要である。しかし、プロセスの成果は見えにくく、測りにくいことから、価格という一律の物差しによって業者選定がなされることがほとんどである。仕事であるからには、当然コスト感覚は必要だが、コロナ禍により暮らし方や働き方が大きく変化している今このときだからこそ、「自分たちにとって大切なことは何か」を見つめなおす機会にできないだろうか。
山梨総合研究所 主任研究員 山本 直子