地域運営組織の可能性


毎日新聞No.707【令和8年1月18日発行】

 地域には町内会自治会を始め、地区社会福祉協議会、地区愛育会、青少年育成推進協議会、シニアクラブなど様々な組織が存在するが、その多くが、地域全体の高齢化に伴う、役員や構成員の担い手不足という問題を抱えている。
 こうした問題に対し、各組織の連携を強化し、一体となって地域活動を運営していくための組織として、地域運営組織が注目されている。総務省は、地域運営組織について、「地域の生活を守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域課題の解決に向けた取組を持続的に実践する組織」と位置付けてられており、令和6年9月現在で、地域運営組織は全国に8,193団体存在する。

 筆者は、昨年12月、長野県長野市を訪問し、同市で市内32地区に設置している住民自治協議会について、市職員の方と住民自治協議会の役員の方に話を伺ってきた。
 長野市は、平成18年、全国に先駆けて、住民自治協議会を設置している。設置にあたり、同市では、地域側との協議を行う中で、区長会連合会を始め9つの連合組織と、区長を始めとする10の行政委嘱委員を廃止し、組織全体のスリム化と地域でしかできないことの明確化を図るとともに、それに紐づく補助金も廃止している。
 その上で、各地区内の分野毎の連合組織を束ねる形で住民自治協議会を設置し、市からは住民自身で使途を決定できる一括交付金を交付することにより、事務局員を独自に採用するなど、住民主体で、各地区の特性に応じて、より柔軟な地域活動に、地域の力を結集して行うことできるようになった。

 それでも長野市では設置から約20年が経ち、課題も見えてきている。行政側としては、そもそも住民自治協議会を設置した大きな趣旨である住民自治の支援や市民協働に関する意識が薄れ、地域側に対し、一方通行的な依頼が行われる場合もあるという。
 また、地域側としては、各種組織を束ねるという重責からも、なかなか協議会の役員の担い手が見つからない状況にある。
 確かに、高齢化に伴う担い手不足やそれによる地域活動の衰退は大きな問題ではあるが、今こそ、活動を進めながら見えてきた課題を改めて整理し、今後、地域活動を維持・継続していくための1つの方向性として、地域運営組織をどのような形で設置し、運営していくのか、住民同士、行政の内部、そして住民と行政で議論する必要があるのではないだろうか。

(公益財団法人 山梨総合研究所 主任研究員 宇佐美 淳