人と生成AIで上達


毎日新聞No.726【令和8年10月11日発行】

 生成AIは、何ができるかを知り試す段階から、業務に組み込み経済的な成果を測る段階へ進んでいる。その価値を引き出すには、生成AIに任せる部分と、人が判断する部分を見極めることが大切だ。私は趣味のゴルフを通じて、その意味を実感した。
 ゴルフは夫婦共通の趣味である。私の直近10ラウンドの平均スコアは90を少し切る程度。平均で80の壁を越えたいと願うものの、コースの状況に対応できず、スイングも安定しない。上達の手掛かりを求め、生成AIを活用してみた。

 まず、スマートフォンで撮影したスイング動画を分析するアプリを使った。クラブの軌跡や体の回転などが表示され、自分の動きを確認できる。「体を回したつもり」という感覚と、実際の動きの違いを見直せる点は有用だった。
 次に、その結果を基に生成AIへ改善方法を尋ねた。しかし、理想的な動きの説明は得られても、私が何をどう変えればよいのか、納得できる答えは得られなかった。
 そこで、レッスンプロに分析結果を見せ相談した。生成AIによる私の癖を踏まえた指導により、修正点が明確になった。プロからも、分析結果は問題点や改善の方向を把握しやすいとの言葉をもらった。一方で、データに捕らわれ過ぎず、体をどう動かすかを大切にするよう助言を受けた。
 この経験から感じた生成AIの価値は、自分の状態を可視化し、指導者と課題を共有できることにある。感覚だけでは伝えにくい動きを確認できれば、相談が具体的になり、改善点も絞りやすくなる。
 こうした生成AIの使い方は、地域のスポーツ指導にも応用できるのではないか。例えば、学校の部活動や地域のスポーツ教室で、練習前後の動きを記録し、指導者と変化を確かめる。限られた指導時間を有効に使い、一人ひとりの課題に応じた質の高い助言を行う手助けになるだろう。指導者を支える道具として、地域のスポーツ振興に役立つ可能性がある。
 私自身、プロの助言を基に練習を重ね、スコアにも改善の手応えを感じている。生成AIの分析を鵜呑みにせず、人の判断を交え、実際のショットで確かめる。

 この姿勢は、仕事で生成AIを活用する際にも共通するだろう。大切なのは、何を改善したいのかを定め、生成AIの分析能力を生かしながら、人が成果を検証することである。今後も、人と生成AIを組み合わせる価値を確かめていきたい。

(山梨総合研究所 主任研究員 在原 巧)