地域をつなぐ社会教育


毎日新聞No.727【令和8年10月25日発行】

 地域の公民館等で開かれる講座や交流会。こうした身近な活動を通じて、地域の課題を把握し、人と人をつなぐ役割を担う人たちがいる。「社会教育委員」と呼ばれる人たちだ。

 社会教育委員は、社会教育法に基づき、都道府県や市町村に置かれる委員である。地域の学びや交流を支え、教育委員会に助言する役割を担っている。2025年4月現在、山梨県には15人、県内20市町村には計283人の委員がいる。
 より具体的な活動の一例として、先日参加してきた上野原市の社会教育委員の活動を紹介したい。同市では12人の委員が、地区公民館などを拠点に活動している。各地区の講座や交流会に参加し、地区の人たちの声に耳を傾ける。そこで見えてきた課題を委員同士で共有し、行政につなぐ。さらに、市街地から山間地まで幅広い市域の中で、地区を越えた顔の見える関係づくりにも取り組んでいる。
 また、同市の社会教育委員による会議では、関係団体や組織との相互訪問の継続を始め、三世代(多世代)交流の充実、移住者との交流促進を継続的な課題として捉えている。そうした課題を解決した先に、引き続き学びを通じた地域づくりを目指す姿として設定している。
 一方、社会教育委員の活動には課題もある。その一つが担い手の確保だ。全国の委員数は1981年の約3万9千人をピークに減少し、2011年には約2万人と、ほぼ半数になった。「社会教育」という言葉が幅広く、具体的な活動や役割が分かりにくいことも、その背景の一つと考えられる。
 また、地域で活動する他の団体との連携も課題だ。例えば、民生委員・児童委員や地区の社会福祉協議会など、同じ地域を支える団体や組織は多い。しかし、活動分野の違いから、十分な連携が図られていない面もある。
 こうした中、上野原市の取組みは参考になる。各委員は自らの地区に活動を限定せず、地区の垣根を越えた交流を進めている。さらに、独自の広報媒体を活用し、活動の様子を地域に発信している。

 「社会教育」の対象が幅広いことは、決して弱みではない。むしろ、教育や福祉などの分野を越えて人と人をつなぎ、地域の課題をともに考えることができる強みでもある。地域のつながりを育む存在として、社会教育委員の役割を改めて見つめ直したい。

(山梨総合研究所 主任研究員 宇佐美 淳)